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平成27年度主要成果

土地利用等が河川・浅層地下水窒素濃度に及ぼす影響の解析

[要約]

流域の浅層地下水平均窒素濃度は、河川窒素濃度と同様に、水田、畑、森林、都市等の土地利用率と関係があります。また、それら窒素濃度は、農地の余剰窒素量とも関係があります。これらより、土地利用や施用窒素量が変わった場合の、河川および浅層地下水の窒素濃度の変化を大まかに予想することができます。

[背景と目的]

河川や地下水の窒素濃度の低減が求められていますが、水田、畑等の面源負荷量は事業所等点源負荷量に比べて把握が困難です。そこで、入手しやすいデータを用いて、土地利用が河川や地下水の窒素濃度に及ぼす負荷程度を表す窒素係数の算出、および農地の余剰窒素量と河川・地下水窒素濃度の関係の解析を行いました。

[成果の内容]

本研究の一部は農林水産省実用技術開発研究(課題番号 1947)による成果です。

リサーチプロジェクト名:化学物質環境動態・影響評価リサーチプロジェクト

研究担当者:物質循環研究領域 吉川省子、高橋英博(農研機構近中四農研セ)、笹田康子(元香 川環保研セ)、望月秀俊(農研機構近中四農研セ)

発表論文等:1) Yoshikawa et al., Soil Sci. Plant Nutri., 61:898–909 (2015)

図1 浅層地下水の硝酸態窒素濃度メッシュデータ(a)、および流域の浅層地下水単純平均窒素濃度(b)

図2 流域の土地利用率と浅層地下水平均窒素濃度値 土地利用面積率は、国土数値情報・土地利用細分メッシュデータから、水田を「田」、畑地を「その他農用地」
、森林を「山林」「荒地」、都市を「建物用地」「幹線交通用地」「その他用地」の合計として流域毎に算出。

表1 河川および浅層地下水の窒素係数の算出式(望月、2010)、および得られた値/◇	河川窒素濃度への水田と都市の影響の大きさは同程度であり、森林はその約1/4でした。一方、浅層地下水の窒素濃度に及ぼす影響は浸透水量が多い水田では、河川窒素濃度への影響に比べて相対的に大きくなっていました。流域の森林率が上がると、河川および浅層地下水の窒素濃度が下がることがわかります。◇ 窒素係数は地域によって異なり、水田では負の値になることもあります(望月ら、2013年度農研機構成果情報)

図3 流域の単位面積あたりの余剰窒素量と河川の平均窒素濃度(a)および流域の浅層地下水平均窒素濃度(b)/◇ 河川窒素濃度を3mg L-1から2mg L-1に下げるには余剰窒素を21kg ha-1減らす必要がある、余剰窒素40kg ha-1を半減すると地下水窒素濃度を5.3mg L-1から4.1mg L-1に下げられる、というように、低減効果のおよその予想が可能です

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