第5回植生研究会
農業生態系における生物生息地の特性とそのネットワーク機能

 
 
趣 旨
 
 新たな生物多様性国家戦略が、2002年3月の地球環境保全に関する関係閣僚会議において決定された。この新戦略では、開発行為等による生物生息地の減少のみならず、里地・里山における人為的かく乱の縮小・撤退による生物の消失が大きく取り上げられた。里地・里山の生態系は、二次林と田畑、水路、ため池等のモザイクから構成され、農林業に関わる人為的かく乱によって維持されてきた。しかし、近年の営農体系の変化や過疎化に伴う人手不足等により、農林地の荒廃や耕作放棄が進み、生物多様性低下の危機を招いている。里地・里山の生物多様性を保全するためには、農林業に依存した生物生息地の特性を明らかにし、農林地の地目連鎖が有する生物回廊としてのネットワーク機能を発揮させることが重要となってくる。本研究会では、農林業と生物との関わりを取り扱ったこれまでの研究成果を紹介し、里地・里山における生物保全をねらいとした作付け等の営農体系、生息地ネットワークとしての農林地の適切な空間配置を論議する。さらに、総合討論では、それらの実現に必要とされる行政・市民・営農者の連携について提言する。
 
開催日時 平成15年3月5日(水) 10:00〜17:00
開催場所 農業環境技術研究所 大会議室
主  催 農業環境技術研究所
 
  プログラム
 
1. 理事長挨拶 農業環境技術研究所/陽 捷行 10:00 - 10:10
 
2.   研究会のねらい−農林地の地目連鎖が有するネットワーク機能−  
  農業環境技術研究所/小川恭男 10:10 - 10:30
 
3. 生き物の移動から見た農村環境の空間配置  
  農業工学研究所/守山 弘 10:30 - 11:15
 
4.   撹乱依存型の水辺生物の生態とその保全−カエル類とミズキンバイを例に−
  日本大学生物資源科学部/大澤啓志 11:15 - 12:00
 
5. 丸石河原固有植物カワラノギクにおける絶滅の渦と保全活動  
  明治大学農学部/倉本 宣 13:00 - 13:45
 
6.   GISを用いた広域的な生物多様性評価と保全計画―コモンデータベースの構築―
  国土技術政策総合研究所/百瀬 浩 13:45 - 14:30
 
7. 里地におけるランドスケープ構造とネットワーク機能の再生  
  農業工学研究所/山本勝利 14:45 - 15:30
 
8. 休耕地を活用した生物多様性の保全と管理システム  
  農業環境技術研究所/大黒俊哉 15:30 - 16:00
 
9. 総合討論 16:00 - 17:00
  コメンテーター; 農林水産省行政部局(未定)   
  農業環境技術研究所/池田浩明  
 
参 集 範 囲 国公立・独立行政法人機関、大学、行政部局、民間団体
事務局連絡先
 

 
農業環境技術研究所 生物環境安全部
  植生研究グループ長 小川恭男
     TEL & FAX : 029-838-8243
     E-mail : ogaway@affrc.go.jp