現在、食の安全や農業環境の保全に対する社会的ニーズに応える形で、多くのリスク軽減や環境浄化の技術開発が進められています。しかし、それらの技術の多くは、ある現象の一側面の問題解決に限定した内容であることが多く、特定のリスクを軽減したことが別のリスクの増大につながったり、あるいは、リスクの軽減によって本来の長所・利点が大幅に失われたりすることが、往々にして生じています。すなわち、環境や食料生産に関する様々な要因をすべて含めてトータルなシステムとして改善する技術的困難さと、開発された技術を的確に評価する手法の欠如によって、多くの研究成果が社会に容易に受容・普及されないものとなっています。
本研究会では、農地土壌とそれを取り巻く環境にかかわる技術開発や研究において生じる、そのようなリスクトレードオフの関係、あるいはリスクとベネフィットの相容れない関係などについて、代表的な例を見ていくとともに、土・水の研究者がそのような問題を解決するためにどのような視点、方向性を持って研究を進めていくべきか考えます。そのために、前半では土壌の重金属汚染や温室効果ガス発生に対処する技術開発・研究の中からいくつかの代表的な課題を取り上げて、技術的解決の問題点や方法を探ります。また、後半ではリスクどうし、あるいは互いに性質の異なるリスクとベネフィットの相互比較、複数の評価基準を勘案した総合的な評価法などを、方法論的に確立するための研究の現状と将来展望について紹介します。
開催日時: 2010年2月25日(木曜日) 10:00−17:00
開催場所: つくば農林ホール (農林水産技術会議事務局筑波事務所)
(茨城県つくば市観音台2−1−9)(周辺地図と交通案内) (最新のURLに変更しました。2012年1月)
主催: 独立行政法人 農業環境技術研究所
参加: 無料 (参加を希望される方は、下記の 申し込み先 までご連絡ください)