プレスリリース
平成18年4月3日
独立行政法人 農業環境技術研究所

昆虫文献目録「三橋ノート」の画像データベースを公開

[要約]

明治時代から昭和20年代後半にかけて我が国で行われた昆虫研究に関する文献情報をほぼ網羅した貴重な資料である、昆虫文献目録「三橋ノート」のうちチョウ類、ガ類、トンボ類に関係する部分を画像データベースとして、ウエブ上に公開しました。このデータベースを活用することで、明治以降の日本における昆虫の分布や発生状況の変遷、昆虫研究の歴史等が明らかになることが期待されます。

[背景・ねらい]

「三橋ノート」は、青森県農事試験場、東京帝国大学農学部、農商務省農事試験場などに籍を置かれた故 三橋信治氏(1878〜1952)がその生涯をかけて作成した日本産昆虫に関する文献目録です。明治時代から昭和20年代後半までの国内の主要な昆虫関連文献に現れた昆虫の学名や和名とその文献書誌情報を種ごとに整理したもので、全474冊、推定50,000頁からなる手書きのノートです(図1図4)。明治以来の日本産昆虫に関する文献情報をほぼ網羅したものであり、わが国昆虫学の前半期における昆虫情報の出典を昆虫名にもとづいて検索することができます。かつてこのノートは昆虫研究者や昆虫愛好家の間で有用な情報源として広く利用され、昆虫学の発展に大いに寄与してきました。当時の昆虫に関する情報は、昆虫の分布や発生状況の歴史的変遷あるいは分類学的研究の変遷などを知る上で今日においてもなお有意義ですが、最近の文献データベースでは入手することができず、ほとんど活用されないまま眠っているのが現状です。長年にわたって蓄積されてきたこれらの貴重な研究成果を活用するため、「三橋ノート」を画像データベース化し、公開することとしました。

[成果の内容・特徴]

1.「三橋ノート」全474冊、推定50,000頁のうち、トンボ類(7冊、1,223頁)とチョウおよびガ類(118冊、18,521頁)の合計約20,000頁のデジタル画像から成るデータベースを作成し、Web上に公開しました(http://mitsuhashi.niaes.affrc.go.jp)。

2.本データベースには、トンボ類約300種、チョウ類約650種、ガ類約5,300種に関する明治時代から昭和20年代後半までの文献書誌情報(著者名、タイトル、書名、巻、号、頁、発行年など)が含まれています(図4)。

3.歴史的経緯のため、1945年以前の台湾、朝鮮半島および中国東北部の昆虫とその関連文献の情報も含まれています。

4.各頁に記されている主要な学名と和名をその頁のキーワードとして登録してありますので、閲覧したい分類群の学名もしくは和名を用いて掲載頁を検索することができます(図2図3図4)。

三橋信治氏について

【参考資料】長谷川仁:明治以降物故昆虫学関係者経歴資料集,昆虫35(3):81-82(1967),訃報:虫界速報28:6(1953)

明治11年1月25日信方の長男として東京に生まれる(父信方[1856〜1910]は旧幕臣でオランダ、デンマーク公使、横浜市長などを歴任)。明治32年6月札幌農学校入学、同40年まで同校に勤務、同40年4月青森県農事試験場技手、大正元年から昭和24年まで東大農学部に勤務し、その間、農商務省農事試験場(現 農業環境技術研究所)に嘱託として一時籍を置いたことがある。昭和24年日本昆虫学会名誉会員に推薦される。昭和27年12月31日没 享年74歳

研究推進責任者 独立行政法人 農業環境技術研究所 理事長

佐藤 洋平

研究担当者   独立行政法人 農業環境技術研究所 農業環境インベントリーセンター

安田 耕司
吉松 慎一
中谷 至伸
上田 義治

電話 029-838-8354(研究室)、029-838- 8348(標本館)

広報担当者   独立行政法人 農業環境技術研究所 広報情報室 広報グループリーダー

福田 直美

305-8604 茨城県つくば市観音台3-1-3
電話 029-838-8191
FAX 029-838-8354
電子メール kouhou@niaes.affrc.go.jp

研究所からのお知らせのページへ 農業環境技術研究所トップページへ