プレスリリース
平成18年8月11日
独立行政法人 農業環境技術研究所

農業環境技術研究所が所蔵する昆虫タイプ標本の画像情報を公開

農業環境技術研究所は、種名を決定する際の基準となる568種の所蔵昆虫タイプ標本の画像情報等をWeb上に公開します。これにより、当研究所で所蔵しているタイプ標本の確認およびそれらの標本に関する情報の入手が容易になります。このタイプ標本データベースは、一つの機関で所蔵するタイプ標本すべてを総合的な画像データベースとして公開したものとしては国内最大です。

[背景・ねらい]

タイプ標本とは、新種の生物を発表する際に必要な標本で、種名を決定する際の基準となる極めて重要なものです。似たような種の存在が明らかになり、元の種との間の関係に疑問が生じた場合は、問題となる種のタイプ標本を改めて調査することが必要となります。そのため、タイプ標本は、その存在場所を明示したうえで研究機関などで永久的に保存され、必要に応じて閲覧できるようにしておかなければなりません。しかし、タイプ標本を閲覧するには、直接所蔵機関を訪問するか、貴重なタイプ標本を郵送などの手段によって取り寄せる必要があり、時間や経費を多く必要とします。また、古い時代に新種として発表されたものの中には、所蔵機関を明記していないこともあり、所在確認が事実上不可能なこともあります。

そこで、当研究所では、収蔵している昆虫タイプ標本の情報をより簡単に利用してもらえるように、1902年以降に記載されたタイプ標本の一部を2004年にすでに公開していますが、今回、全ての標本の画像をWeb上で公開することとしました。これにより、外部からのタイプ標本の形態情報の確認が容易になり、分類学上の問題の迅速な解決に役立つものと期待されます。

[成果の内容・特徴]

1.農業環境技術研究所で所蔵しているコウチュウ目、ハチ目やハエ目など568種のタイプ標本の一覧(図1)を公開しました。当研究所のWebページで確認できます。

(http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/inventry/insect/inssys/typelst.htm

2.タイプ標本568種のうち、貸し出し中の33点を除く標本535点について、全体像、頭部、翅など、特徴となる部位の画像を、標本の採集地、採集年月日、採集者や標本の状態など、標本ラベルに記述されているデータ、および新種を記載した文献情報とともにWeb公開しました(図2)。

3.所蔵タイプ標本の一覧および画像により、利用者が当研究所のタイプ標本の所蔵の有無を確認した上で、種名を明らかにする際に必要となる昆虫の形態に関する情報を即座に入手できます。

研究推進責任者 独立行政法人 農業環境技術研究所

理事長  佐藤 洋平

研究担当者   独立行政法人 農業環境技術研究所 農業環境インベントリーセンター

中谷 至伸
安田 耕司
吉松 慎一
上田 義治

電話 029-838-8354 (研究室)、029-838-8348 (標本館)

広報担当者   独立行政法人 農業環境技術研究所 広報情報室 広報グループリーダー

福田 直美

305-8604 茨城県つくば市観音台3-1-3
電話 029-838-8191
FAX 029-838-8191
電子メール kouhou@niaes.affrc.go.jp

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