農業環境技術研究所プレスリリース2007年9月21日(農林水産省など共同発表)

III 自動花粉モニターの開発

1 研究課題名

空中花粉数の自動計測方法の高度化

2 研究の趣旨

遺伝子組換え農作物の花粉が飛散することによる一般農作物との交雑を抑制する技術の開発は、本委託プロジェクトの重要な課題の一つである。そのためには、空気中の花粉を効率的に計測することが必要となるが、従来、花粉採取後、顕微鏡による目視計数を行うなど、多大の人的労力と時間を要し研究推進の大きな制限要因となっていた。

このため、新たなアイディアとこれまで蓄積した技術を組み合わせ、特定の植物の花粉を区別して計測可能な 「自動花粉モニター」 の開発を行った。

3 研究の方法

(1) 自動花粉モニターの概要

レーザー光線を植物の花粉へ照射することによって、花粉の粒子から発生する散乱光の2方向の強度と発生時刻を記録する自動花粉モニターを作製した (図1)。

図1の上部にある吸引口から入った空気は、本装置の心臓部であるレーザー光学計測系 (図2) に導かれ、中に含まれる微粒子の光学特性が計測される。

自動花粉モニターは、独立行政法人農業環境技術研究所の試験ほ場に設置し (平成18年7月〜9月)、気象データと空中花粉データを計測した。

図1 自動花粉モニター外観(写真)
図1 自動花粉モニター外観

図2 心臓部の光学パーツ(写真)
図2 心臓部の光学パーツ

(2) 花粉の計測方法

レーザー光の薄いカーテンを、花粉などの粒子が通過するときに、粒子は周囲に散乱光を発生する。その際に、レーザー光線の方向から見て、前方に発生する散乱光 (前方散乱) と、側方に発生する散乱光 (側方散乱) の強度を2つの方向に設置した検出器 (受光素子) によって検出する (図3)。空気には花粉以外にも様々な粒子やチリが含まれるが、計測ターゲットとする花粉だけがもつ前方散乱の強度と側方散乱の強度の組合せによって花粉のみを効率的に識別する方法を構築した (図4)。

図3 モニターの花粉検出原理(概念図)
図3 モニターの花粉検出原理

図4 花粉判別アルゴリズムによる花粉散乱領域の特定(グラフ)
図4 花粉判別アルゴリズムによる花粉散乱領域の特定

4 研究の結果

従来の方法 (Burkard 法) と比較した測定値の経時変化 (図5) は、各日正午前後に現れる花粉飛散のピークを自動花粉モニターも適切に捉えており、日内変化のパターンを正確に把握することが可能であった。

図5 自動花粉モニター値と Burkard 値の経時変化(グラフ)
図5 自動花粉モニター値と Burkard 値の経時変化

5 今後の研究について

今後は、複数種類の花粉を識別し計数が出来る装置の開発を目指す。また、本装置の成果を活用し、「花粉飛散交雑予測モデル」の構築と改良を行う計画である。

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