トップページ > プレスリリースリスト > イネの病害抵抗性の仕組みを解明

<お願い>
(独)農業生物資源研究所の省略形としては
「生物研」を使用願います。
生物研
プレスリリース
平成25年6月13日
独立行政法人 農業生物資源研究所

イネの病害抵抗性の仕組みを解明

- 安定して病気に強いイネの開発へ前進 -

ポイント
  • いもち病抵抗性遺伝子「Pb1」が抵抗性に果たす役割を解明しました。
  • Pb1タンパク質は、病害抵抗性を高めることが知られる「WRKY45」タンパク質と結合し、その分解を抑えていました。
  • Pb1遺伝子の機能を強化することで、「高い病害抵抗性を安定的に発揮するイネ」の開発が可能となり、低環境負荷の無農薬栽培が実現できると期待されます。

概要

  1. (独)農業生物資源研究所(生物研)は、イネの重要病害である「いもち病」に高い抵抗性を発揮する遺伝子「Pb1(ピービーワン)」が、抵抗性発現に果たす役割を解明しました。
  2. 研究グループではこれまでに、Pb1遺伝子を単離し、その構造と遺伝子進化について明らかにしていました。さらに、イネの病原体感染時に働く「WRKY(ワーキー)45」タンパク質を同定し、このタンパク質が防御遺伝子群を活性化してさまざまな病原菌に対するイネの抵抗性を高めるという重要な役割を担うことを報告してきました。
  3. 今回、Pb1タンパク質が、WRKY45タンパク質に作用することが分かりました。Pb1タンパク質は、WRKY45タンパク質と結合し、その分解を抑制することで高い抵抗性が保持されます。
  4. 今回の成果を活用することで、遺伝子組換え体を用いない、Pb1遺伝子の機能を強化した「高い病害抵抗性を安定的に発揮するイネ」の開発が期待され、これにより環境負荷の少ない減農薬栽培が実現できると期待されます。
  5. この成果は6月4日付、米国科学アカデミー紀要(電子版)に掲載されました。
予算 : 日本学術振興会科学研究費補助金
農林水産省委託プロジェクト「新農業展開ゲノムプロジェクト」
プレスリリース全文 [PDFファイル:577KB]
【発表論文】

Haruhiko Inoue, Nagao Hayashi, Akane Matsushita, Liu Xinqiong, Akira Nakayama, Shoji Sugano, Chang-Jie Jiang and Hiroshi Takatsuji
Blast resistance of CC-NB-LRR protein Pb1 is mediated by WRKY45 through protein-protein interaction. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America  DOI:10.1073/pnas.1222155110

問い合わせ先など

研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長 廣近 洋彦
研究推進責任者:(独)農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究センター
センター長 高野 誠
研究責任者:(独)農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究センター
耐病性作物研究開発ユニット  ユニット長 高辻 博志
 電話:029-838-8383 E-mail:takatsuh@affrc.go.jp
研究担当者:(独)農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究センター
耐病性作物研究開発ユニット 主任研究員 井上 晴彦
 上級研究員 林 長生
広報担当者:(独)農業生物資源研究所 広報室長 井濃内 順
 電話:029-838-8469
本資料は文部科学記者会、科学記者会、筑波研究学園都市記者会、農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブに配付しています。

【掲載新聞】 6月14日金曜日:日本農業新聞、化学工業日報

↑PAGE TOP