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(独)農業生物資源研究所の省略形としては
「生物研」を使用願います。
生物研
農研機構
東京農工大学
プレスリリース
平成25年8月28日
独立行政法人農業生物資源研究所
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
国立大学法人東京農工大学

多収イネの光合成能力に貢献する遺伝子を特定

- 高収量イネ品種の開発に期待 -

ポイント
  • 多収イネ品種が持つ、光合成速度を高める遺伝子を世界で初めて特定しました。
  • この遺伝子が働くことで、光合成反応を行う葉肉細胞の数が増え、光合成速度が
    向上することが分かりました。
  • 本遺伝子を活用することにより、収量性の向上したイネ品種の作出が期待されます。

概要

1)穀物の生産性を決定する主な遺伝子のうち、籾の数や穂の大きさなど、炭水化物を貯蔵する能力を決定する遺伝子は、近年次々と明らかになりました。しかし、光合成などの、炭水化物を作り出す能力を決定する遺伝子は、これまで殆ど見つかっていませんでした。
2)(独)農業生物資源研究所(生物研)と(独)農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所、国立大学法人東京農工大学は共同で、日本でトップレベルの収量性を示すイネ品種「タカナリ」から葉の光合成速度を高める遺伝子「GPS」を世界で初めて単離しました。GPS遺伝子は、葉を細くする遺伝子として既に知られていたNAL1 と呼ばれる遺伝子の変異型で、光合成が行われる場所である葉肉細胞1)の数を増やし、光合成速度2)を向上させることが明らかになりました。
3)GPS遺伝子は1960年代の東南アジアにおける緑の革命に貢献した多収イネ品種「IR8」に由来し、日本に伝わったことがわかりました。本成果は今後、多収イネ品種の作出に活用されることが期待されます。
4)この成果は、8月29日午前10時(現地時間)に英国科学雑誌Scientific Reportsに掲載予定です。
予算 :農林水産省委託プロジェクト「新農業展開ゲノムプロジェクト」(平成20〜24年度)
プレスリリース全文 [PDF:912KB]
【発表論文】

Toshiyuki Takai, Shunsuke Adachi, Fumio Taguchi-Shiobara, Yumiko Sanoh-Arai, Norio Iwasawa, Satoshi Yoshinaga, Sakiko Hirose, Yojiro Taniguchi, Utako Yamanouchi, Jianzhong Wu, Takashi Matsumoto, Kazuhiko Sugimoto, Katsuhiko Kondo, Takashi Ikka, Tsuyu Ando, Izumi Kono, Sachie Ito, Ayahiko Shomura, Taiichiro Ookawa, Tadashi Hirasawa, Masahiro Yano, Motohiko Kondo, Toshio Yamamoto
A natural variant of NAL1, selected in high-yield rice breeding programs, pleiotropically increases photosynthesis rate.
Scientific Reports DOI: 10.1038/srep02149

問い合わせ先など

研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長 廣近 洋彦
研究推進責任者:(独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センターセンター長 矢野 昌裕
研究担当者:(独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター
 イネゲノム育種研究ユニットユニット長 山本 敏央
 電話:029-838-7135 E-mail:toshyama@affrc.go.jp
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
 稲研究領域主任研究員 高井 俊之
東京農工大学大学院農学研究院教授 平沢 正
(独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター
 イネゲノム育種研究ユニット特別研究員 安達 俊輔
広報担当者:(独)農業生物資源研究所広報室長 井濃内 順
 電話:029-838-8469
本資料は文部科学記者会、科学記者会、筑波研究学園都市記者会、農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブに配付しています。

【掲載新聞】  8月29日木曜日:日本経済新聞、日経産業新聞、日本農業新聞、化学工業日報、日刊工業新聞、
9月2日月曜日:食品産業新聞、9月6日金曜日:科学新聞、9月11日:農業共済新聞

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