よくある質問
Q1. ユスリカについて教えてください。
Q2. ネムリユスリカは吸血しないのですか。
Q3. ネムリユスリカは日本にいますか。
Q4. ネムリユスリカが生息している場所について教えてください。
Q5. ネムリユスリカは卵から成虫まで、どのくらいの時間がかかりますか。
Q6. 乾燥に耐えうる能力を持つ昆虫は他にはいますか?
Q7. 乾燥した卵から生き返るエビがいますが、それとはどこが違いますか。
Q8. 哺乳類ではクリプトビオシスと同じような現象がありますか?
Q9. トレハロースについて教えてください。
Q10. 頭部と腹部の間をしばって切る実験がありましたが、切ってしまうと呼吸もできなくなってしまうのではないですか。
Q11. ガラス化とはどのような現象ですか。
Q12. 学習教材として利用するということですが、屋外に逃げ出したりしたら困るのではないですか。
Q13. ネムリユスリカの研究は今後どのようなことに役立ちますか。
Q1. ユスリカについて教えてください。
A. ユスリカは、ハエ目(双翅目、Diptera)に分類され、ハエやカの仲間です。「カ」と姿かたちがよく似ていますが、吸血はしません。成虫のオスが夏になると蚊柱を作ることでよく知られています。幼虫は、アカムシとしてつりや鑑賞魚用の餌として使われています。日本では、ヤモンユスリカ、セスジユスリカなど約1000種類ほどが確認されています。
Q2. ネムリユスリカは吸血しないのですか。
A. ほかの種類のユスリカと同様、ネムリユスリカも血を吸うことはありません。成虫になってからは積極的に餌を食べることはありません。ただし若干の水分は必要としているようです。
Q3. ネムリユスリカは日本にいますか。
A. 日本にはいません。現在はアフリカの半乾燥地帯でのみ見つかっています。
Q4. ネムリユスリカが生息している場所について教えてください。
A. 現在ユスリカが見つかっているのは、アフリカの中央部を中心に、半乾燥地帯と呼ばれるところです。赤道に近いこの地域では、一年を通じて比較的高温で、日長の変化もあまり大きくありません。また雨季と乾季がはっきり分かれていて、乾季になると何ヶ月も雨が一滴も降らないことすらあります。この地域には、岩盤地域が点在しています。ネムリユスリカの幼虫はその岩盤にできた、小さな水たまりに生息しています。水たまりは常に乾燥の危険にさらされているので、このような過酷な環境で生存するために、ネムリユスリカのような乾燥耐性能力が発達したのかもしれません。
Q5. ネムリユスリカは卵から成虫まで、どのくらいの時間がかかりますか。
A. 野外でのネムリユスリカの生態ははっきりとは判っていません。生息する水たまりの大きさ、乾燥状況や、生息密度、気温などに大きく左右されると思われます。現在、研究室内で飼育しているネムリユスリカでも、卵の期間が1日程度、幼虫期間は3週間から2ヵ月半、蛹の期間は1日、成虫期間は1日から1週間程度(交尾の有無による)と、かなり成長の速度に幅があることがわかります。
Q6. 乾燥に耐えうる能力を持つ昆虫は他にはいますか?
A. 現在わかっているのは、ネムリユスリカのみです。乾燥耐性を持つものでは一番高等で、一番大きい生物です。
Q7. 乾燥した卵から生き返るエビがいますが、それとはどこが違いますか。
A. ホウネンエビの仲間(アルテミア)を例にとると、卵が乾燥に耐えられる、ということは、この卵を産む親世代が、乾燥条件を予想してそれに耐えうる卵を産む、ということになります。ネムリユスリカの場合は、親世代ではなく、幼虫自らが水分の減少に対応して乾燥耐性を得ている、ということに大きな違いがあります。
Q8. 哺乳類ではクリプトビオシスと同じような現象がありますか?
A. 知られている範囲では存在しません。たとえば人間は体重の60%が水分です。そして体重の3%の水分が失われると、運動能力、体温調節機能の低下が見られ、8%の水分を失うと意識障害、血圧低下によるショック状態に陥ります。そして約14%失うことによって、死に至ります。このように水分を失い、代謝の停止した状態から人間が蘇生することはありません。ですからネムリユスリカのように、体重の3%以下の水分状態からの蘇生は、驚異的な能力といえます。
Q9. トレハロースについて教えてください。
A.

トレハロースは、ブドウ糖が二つ結合した、天然にも多く存在する糖(二糖類)です。きのこや海藻類、酵母にも含まれていますし、昆虫類では血糖として使われています。1994年に林原商事が世界で初めて量産化に成功して以来、多くの加工食品や化粧品などにも使われています。現在では様々な分野において、利用、研究されている注目の素材といえます。

Q10. 頭部と腹部の間をしばって切る実験がありましたが、切ってしまうと呼吸もできなくなってしまうのではないですか。
A. 昆虫は、胸腹部に気門という呼吸口を持っていて、そこから直接気管を使って細胞、組織まで空気を取り込みます。ところが水中で生活するユスリカの幼虫の場合、気門はなく、腹部にえら(血鰓)を持っています。ですから、人間などの呼吸器系とは異なるため、体の途中でしばっても、腹部の部分だけで空気を取り入れ、しばらくの間生きていることができます。
Q11. ガラス化とはどのような現象ですか。
A. 液体が結晶構造(分子が規則正しく並んでいる構造)をとらずに固体と同じ硬さを持つ液体になることをガラス化といいます。ガラス化した物質は準安定状態であるため、温度や含水率の変化でガラス状態が破られ、結晶またはラバーへと変化します。ガラス化した物質は、高粘度で分子が乱雑な状態にありますが、物質の分子運動はほぼ完全に抑えられ劣化などが進まないため、食品の分野で多く利用されています。ネムリユスリカが体内に蓄積するトレハロースは、ガラス転移点(ガラスが失われる温度)が115℃ととても高温ため、灼熱のアフリカでも有利な物質といえます。ちなみに窓ガラスなどのガラスも同じように分子が準安定な状態にあります。
Q12. 学習教材として利用するということですが、屋外に逃げ出したりしたら困るのではないですか。
A. 学習教材化するにあたって、その点については十分考慮します。現在、乾燥した幼虫に一定量の放射線を当てることによって不妊化出来る事が実験で証明されています。もちろん、放射線を当てたこの幼虫は、人体には影響がありません。教材として利用する際にもこの不妊化処理をしたものを使うので、万が一屋外に逃げ出しても増えることはありません。
Q13. ネムリユスリカの研究は今後どのようなことに役立ちますか。
A. 常温での乾燥耐性についてさらに研究を進めることによって、より新鮮な形での、新たな食品の常温保存方法の開発などが考えられます。また、医療面での利用も考えられます。すでに米国のクロー博士らの研究グループは、ヒト血小板の常温乾燥保存に成功しています。これはトレハローストランスポーターを用いたものではなく、ヒト血小板細胞内へのトレハロースの取り込みを促進することが出来たことによります。
さらにトレハローストランスポーターの研究が進み、「いかにうまく細胞内にトレハロースを取り込ませるか」という課題を解決していくことにより、将来的にはヒトの細胞や臓器の常温乾燥保存法の開発に大いに貢献していくことと考えます。