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ここに注目

大麦:実と殻を分けるしくみを明らかに!

2009年8月7日

大麦にはビールをつくる原料になる「皮麦(かわむぎ)」と麦飯や麦味噌の原料になる「裸麦(はだかむぎ)」とがあります(図1)。皮麦では脱穀しても実と殻が糊でくっついており、はずすことができません。ところが裸麦では殻が実からかんたんに取り除くことができるため、食用に適しています。大麦は食物繊維を多く含んでいるので、健康食品ブームで今後需要が増える可能性が高いため、皮麦と裸麦の違いを決める遺伝子を発見することで、新しい裸麦品種の改良に役立てられると期待できます。

図1 大麦の皮麦と裸麦の形の違い
 

私たち岡山大、香川大、三重大、生物研(つくば市)などの研究グループは8年間かけて3万個以上ある大麦の遺伝子を調べ、皮麦が持っている脂質(油分)を作らせる遺伝子(ERF転写因子)が裸麦ではなくなっていて、この遺伝子が皮麦と裸麦の違いを決めていることを世界で初めて突き止めました。皮麦ではERF転写因子の働きで種子の表面に脂質が作られ、これが接着剤の働きをして実と殻がくっついてしまい、脱穀しても離れなくなります。反対に、裸麦ではERF転写因子がないため、種子の表面の脂質は作られず、実と殻がくっつかないと考えられます。なお、転写因子とは他の遺伝子の働きを調節する司令塔のような役割をもつ遺伝子のことです。

裸麦は今から約8000年前に中東のメソポタミア文明で栽培が始まったとされています。私たちは裸麦からなくなった遺伝子がすべて同じことから、メソポタミアで突然変異して生まれた裸麦が食べやすいために世界中に広まった可能性が高いと考えています(図2)。

図2 裸麦100品種の調査
 

大麦には、収穫は少ないのですが塩の害や寒さなどに強い野生種が30種ほどありますが、それらの野生種は種子が小さく、しかも実と殻がくっついた皮麦です(図3)。今後、ERF転写因子に注目して改良を進めれば、このような野生種から様々な不良環境のストレスに強い裸性の新しい食用作物を開発できるのではないかと期待できます。

図3 栽培種と野生種の穂

武田 真

武田 真 (たけた しん)

1963年生。愛媛県出身。京都大学大学院農学研究科博士課程中退、京都大学農学部附属農場、岡山大学資源生物科学研究所、香川大学農学部を経て、平成20年4月より岡山大学資源生物科学研究所附属大麦・野生植物資源研究センター教授。
現在は大麦の形態(かたち)と品質を決める遺伝子を研究している。

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