さまざまな病気に強いイネをつくる
作物の病気は食料生産の大きな敵です。イネではカビが原因の「いもち病」や細菌が原因の「白葉枯病」などによって、世界中で多くの生産物が失われています。日本でも、イネの最大の病気である「いもち病」による被害が、毎年約30%の水田で起こっています。農薬を使って病気を防ぐ方法もありますが、手間とコストがかかる上、安全性も心配です。
そこで現在、2種類の方法で病気に強いイネを作る研究が行われています。
ひとつは、たくさんの品種から病気に強い性質を持つイネを選び出し、病気に強くなる遺伝子を調べて、それを交配によっておいしいおコメに移す方法。
もう一つは、植物が本来持っている病気を防ぐ仕組みをくわしく調べ、それをもとに病気に強い品種になるよう遺伝子を改良する方法です。
おいしくて安全なお米をもっと効率良く
遺伝子を研究することで、病気に強く農薬があまり必要ではないイネを作ることができれば、おいしくて安全なお米が、もっと効率良く作れるようになるんだ。イネ以外の作物へも応用できるそうだから、今後が楽しみだね。
これまでの研究で、ある遺伝子の働きを高めることで、いもち病と白葉枯病の両方に強くなることが分かってきました。このように植物の潜在的な能力を最大に活かす方法をイネはもちろん、ムギやトウモロコシにも応用し、病気に強い品種を開発する研究が進んでいます。