虫害に強いイネをつくる
ウンカ、ヨコバイなどイネの栄養分を吸って成長する昆虫は、イネを栽培するときの大きな問題の1つ。農薬がなかった時代には、これらの虫が大量発生して飢饉(ききん)を引き起こすこともありました。
殺虫剤が開発されてから大規模な被害は少なくなりましたが、2005年には20年ぶりにトビイロウンカによる坪枯れが起こりました。これは、海外から飛んできたトビイロウンカが殺虫剤でも死ななくなったり、虫に強い品種のイネさえも攻撃するように変化したからだと考えられています。
そこで現在、虫の攻撃に強い品種の遺伝子を研究して、もっと虫に強い品種を作ろうとする取り組みが進められています。野生のものまで含めると、イネには数万にもなる品種や系統があり、その中には色々なタイプの虫に強い品種があります。それらの「虫に強い」遺伝子の正体を明らかにして組み合わせることで、より虫に強いイネの開発を目指しているのです。そのためにはイネの研究者と害虫の専門家、品種改良を進める育種家など多くの人々の協力が欠かせません。
虫に強い理想の品種の開発
イネの品種によって、「虫に対する強さ」にはいろいろなタイプがあるんだ。だから、虫に強い様々な品種の遺伝子を研究して、虫に強くて米がたくさんとれて味も良いという、理想の品種の開発を目指しているんだよ。