トップページ>研究課題>新たな遺伝子組換え生物にも対応できる生物多様性影響評価・管理技術の開発

GRA

2016年9月13日更新

新たな遺伝子組換え生物にも対応できる生物多様性影響評価・管理技術の開発

概要

適応度を向上させた新たな遺伝子組換え生物の生物多様性影響評価及び管理に必要な近縁野生動植物等の生態や遺伝子伝搬の程度に関する科学的知見の集積を図るとともに、各種育種技術や栽培技術等を組み合わせた遺伝子浸透抑制技術を開発する。
また、海外における遺伝子組換え生物や、新しいゲノム育種技術についての科学的情報を収集・解析し、慣行の交雑育種法との異同等を検証するための手法・指標を開発する。

研究目的

  1. 適応度の向上に関与する遺伝子を導入した遺伝子組換え(GM)生物を対象として、近縁種との交雑性・競合性等の生物多様性影響評価手法を開発し、非GM作物との交雑を低く抑えるための時間的・空間的管理手法を確立する。
  2. New Breeding Techniques(NBT)を含む新規ゲノム育種による作物や、各種新規GM作物等の検知技術を開発し、それらや生物多様性影響評価及び管理技術等に関する海外情報を収集・解析し、プロジェクト関係者および行政部局に提供する。

達成目標

   ○ 遺伝子組換え生物の生物多様性影響評価手法の開発
  1. ツルマメの生物・生態的特性の把握およびリスク評価手法の開発
    • ツルマメを摂食する国内のチョウ目等昆虫のBt感受性の把握
    • ツルマメの個体群維持の生物的阻害要因の解明
  2. ナタネ類の遺伝的・生態的特性の把握およびリスク評価手法の開発
    • 適応度が向上した場合の遺伝子浸透の可能性の把握
    • 適応度が異なる形質が交雑した近縁種の表現形質の把握
  3. 生物多様性影響評価のためのクワコの生態的特性の把握
    • クワコの生態的・生理的性質の把握
    • クワコの核ゲノムによる遺伝的多様性の把握
    • クワコのモニタリング手法の開発
  4. 生物多様性影響評価のための魚類の生態的特性の把握
    • 大西洋サケ:わが国の自然環境条件における生育・繁殖特性・競合性の把握
    • メダカ:GMメダカと在来種との関係、有害物質の産生性の解明
    • コイ:わが国の自然(に近い)条件での近縁種との交雑性の把握
   ○ 遺伝子組換え作物の管理技術の開発
  1. 新規の遺伝子組換え技術に対応した検知・調査手法の開発
    • NBT等における異種遺伝子の検知の可否を知る
    • 水際検査で利用できる簡易検知法の開発
    • スタック系統の相互作用の把握
  2. 新規の遺伝子組換え技術および生物に関する科学的知見の収集・解析
    • 国内外の新しいゲノム育種技術に関する最新情報の収集
    • GM生物等の社会経済学的影響評価に関する海外の最新情報の収集
  3. 作物の形質や耕種法等を活用した封じ込め技術の開発
    • 閉花受粉性(イネ):実用的中間母本の育成と安定的栽培条件の解明
    • 共存(イネをモデル):時間的・空間的隔離を融合したリスク評価手法の開発

研究内容

   ○ 遺伝子組換え生物の生物多様性影響評価手法の開発
  1. ツルマメの生物・生態的特性の把握およびリスク評価手法の開発
    • チョウ目昆虫(GMあり):国内ツルマメ害虫のBt感受性
    • その他の昆虫類(GMなし):国内ツルマメ害虫の種類と摂食圧
    • 病害(GMなし):国内ツルマメに発生する病気の種類、生育への影響
    • ツルマメの生態的特性の把握:個体群動態モデル、遺伝子浸透モデル
    • 交雑リスク評価手法の開発:ダイズとツルマメの分布重複度や開花重複度
  2. ナタネ類の遺伝的・生態的特性の把握およびリスク評価手法の開発
    • 近縁種の生態的特性の把握:雑種後代における環境適応度
    • リスク評価手法の開発:環境適応性評価、耐虫性評価手法の開発
  3. 生物多様性影響評価のためのクワコの生態的特性の把握
    • クワコの一般的性質:発生時期、国内分布、飛翔距離・スピード
    • クワコの核ゲノムによる遺伝的多様性:これまではミトコンドリア
    • モニタリング方法:合成フェロモンを利用したトラップ(Where, How, When?)
  4. 生物多様性影響評価のための魚類の生態的特性の把握
    • 大西洋サケ:本州で自然繁殖や在来種と交雑する可能性、競合性(アマゴ等)
    • メダカ:GMメダカと野生メダカとの交雑性、体内外の有害物質産生性評価
    • コイ:各種F1の交雑性、飼育池での自然交雑
   ○ 遺伝子組換え作物の管理技術の開発
  1. 新規の遺伝子組換え技術に対応した検知・調査手法の開発
    • NBTの検知技術
      • 従来法(リアルタイムPCR)の限界、新技術導入の可能性評価
      • 高速塩基配列解析技術を活用した分析手法の開発
    • 簡易検知法の開発
      • LAMP法:一定温度、高特異性、高感度、簡易性、短時間(1時間以内)、蛍光
      • DNA結合タンパク質:既存の手法では検出困難な短いDNA配列の検出法の開発、簡易性、迅速性
    • スタック系統(cry遺伝子):殺虫活性・発現産物、遺伝子間相互作用
  2. 新規の遺伝子組換え技術および生物に関する科学的知見の収集・解析
    • 新規作出技術等(国内外)
      • NBTに関する研究・開発、検知技術、外来遺伝子除去の根拠等
      • 適応度向上の生物多様性影響評価(≠“実質的同等性”、“Familiarity”)
    • 社会経済学的影響評価(海外)
      • 規制・政策(共存ルール)、栽培・流通の動向
      • 社会経済的影響の評価・配慮(カルタヘナ26条)の動向
  3. 作物の形質や耕種法を活用した封じ込め技術の開発
    • 閉花受粉性(イネ)
      • 既知の閉花受粉性イネの栽培適地の確認
      • 寒地・寒冷地でも栽培可能な新規閉花受粉性イネの開発
    • 共存(イネをモデル)
      • 開花予測モデル:開花重複度と交雑率 ⇒移植条件、品種
      • GISデータベースを利用した空間隔離効果評価手法:スケール(全国と市町村)
      • 総合的交雑リスク評価モデル:開花重複度と空間的隔離効果を統合した評価法の開発

↓図をクリックすると、新しいウインドウで、大きな図が開きます

GRA概略図

実施課題一覧(〜平成28年度)

*:平成27年度までに終了したものの所属機関は、旧名を使用している。

課題番号 実施課題名 課題責任者 所属機関(
GRA101-1 ツルマメを摂食するチョウ目等昆虫のBt感受性に関する特性解明 (平成27年度まで)
⇒ツルマメ摂食昆虫の摂食量とBt感受性の解明 (平成28年度から101-2を統合して課題名変更)
農研機構・生物機能利用研究部門
GRA101-2 ツルマメを摂食する昆虫類とその発生に関する調査・解析 (平成27年度からGRA101-1に統合) 農業環境技術研究所
GRA101-3 ツルマメの病害に関する調査・解析 (平成26年度終了) 農研機構・九州沖縄農業研究センター
GAR101-4 遺伝子組換えダイズを評価するためのツルマメの生態的特性の把握 (平成28年度からGRA101-5とともにGRA101-2(下記)に統合) 農業環境技術研究所
GRA101-5 遺伝子組換えダイズとツルマメの交雑リスク評価手法の開発 (平成28年度からGRA101-4とともにGRA101-2(下記)に統合) 農業環境技術研究所
GRA101-2 環境条件の年次変動がツルマメ個体群の存続性や開花に及ぼす影響の解明 (平成28年度から、上記GRA101-4と101-5を統合した課題) 農研機構・農業環境変動研究センター
GRA102-1 遺伝子組換えセイヨウナタネを評価するための近縁種の遺伝的・生態的特性の把握 (平成28年度からGRA102-2に統合してGRA102(下記)へ) 農業生物資源研究所
GRA102-2 遺伝子組換えセイヨウナタネの暴露によるリスク評価手法の開発 (平成28年度からGRA102-1を統合してGRA102(下記)へ) 筑波大学
GRA102 ナタネ類の遺伝的・生態的特性の把握およびリスク評価手法の開発 (平成28年度からGRA102-1とGRA102-2を統合) 筑波大学
GRA103-1 クワコの生態的・生理的特性の把握 (平成26年度まで)
⇒クワコの生態的・生理的特性の把握とカイコ組換え遺伝子のモニタリング (平成27年度からGRA103-3を統合して課題名変更)
農研機構・生物機能利用研究部門
GRA103-2 クワコの遺伝的多様性の解明 農研機構・生物機能利用研究部門
GRA103-3 カイコの組換え遺伝子モニタリング手法の開発 (平成27年度からGRA103-1に統合) 農業生物資源研究所
GAR104-1 大西洋サケの生育・繁殖特性及び在来サケ科魚類との競合性に関する研究 (平成27年度終了) 水産総合研究センター増養殖研究所
GRA104-2 メダカの交雑性、有害物質産生性に関する研究 (平成26年度終了) 水産総合研究センター増養殖研究所
GRA104-3 コイの交雑性に関する研究  (平成27年度終了) 水産総合研究センター増養殖研究所
GRA201-1@ 新規作出技術等に対応した検知手法の検討・開発 (平成27年度終了) 農研機構・食品総合研究所
GRA201-1A 遺伝子組換え作物の国内流通を想定した簡易検知法の開発 農研機構・食品研究部門
GRA201-2 スタック系統における遺伝子間相互作用の検知・評価手法の開発 (平成25年度終了) 北海道大学
GRA202-1 国内外における遺伝子組換え生物の新規作出技術等に関する情報収集・解析 (平成27年度終了) 農業生物資源研究所
GRA202-2 海外におけるGM生物の社会経済学的影響評価に関する情報の収集・解析 茨城大学
GRA202-3 新規育種技術が生物多様性に及ぼす影響に関する情報の収集・解析 (平成28年度開始) 農研機構・農業環境変動研究センター
GRA203-1@ 鱗被形成遺伝子による閉花性イネの安定的利用技術の開発 (平成26年度終了) 農研機構・作物研究所
GRA203-1A 新規変異による閉花性イネの育種技術の開発 (平成26年度終了) 農研機構・中央農業総合研究センター
GRA203-2 作物モデル及びGISデータベースを応用した水稲の交雑抑制効果の評価・予測 (平成26年度終了) 農業環境技術研究所
Copyright © All rights reserved.