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PFT

2017年5月30日更新

遺伝子発現を指標にイネの生育を予測するシステムの開発 (略称:発現予測システム)

概要

イネ新品種の栽培適地決定の効率化や変動する自然環境に対応した栽培条件の最適化等を図るため、統計モデリング手法を活用して、全国の様々な栽培地域の気象条件、作期等の情報と、イネの網羅的な遺伝子発現解析情報から様々な環境下での遺伝子発現を予測し、これを基にイネの生育を予測するシステムを開発します。

研究目的

  1. 変動する自然環境に対応したイネ栽培条件の最適化
  2. イネ品種の栽培適地決定の効率化
  3. 圃場での発現変動を指標にしたイネ有用遺伝子候補の同定
  4. イネの栽培管理の効率化のために、特定の遺伝子発現変動を指標にするバイオマーカーの開発を進める。

達成目標

  1. 日本全国で栽培する主にコシヒカリのイネ品種の葉での遺伝子発現を移植日等の栽培条件と自然環境データから、網羅的に推定(予測)するシステムを開発する。
  2. 出穂期や、施肥の有無による収量性等、いくつかの重要な農業形質について、圃場での遺伝子の変化との関連が強いものを探索し、農業形質の予測に活かす。
  3. 網羅的な遺伝子発現解析の手法として、マイクロアレイ解析だけでなく、RNA-SEQの利用をコスト面からも模索する。また、RNA-SEQによる遺伝子発現の品種間差から地域ごとの栽培適性に関わる重要遺伝子の探索を進める。
  4. RNA-SEQデータから、マイクロアレイプローブのデザインを最適化加えて、多品種対応型に更新し、解析コストの軽減を目指す。
  5. クラウドシステムの利用等により、上記、予測システムの汎用化を図り、より多くのユーザが簡単にこのシステムを利用できる環境を整える。

研究内容

  1. 遺伝子発現予測モデルの改良を進め、予測精度を実用レベルにあげる。
  2. 全国7カ所から水田で栽培しているイネの葉をサンプリングし、年間300サンプルのマイクロアレイ解析を期間内行いデータを蓄積し、そのデータを使って、モデルを更新していき、実用的な遺伝子発現予測システムを構築する。
  3. 葉のサンプリングと同時に、いくつかの農業形質を調査し、形質変化と関連の深い遺伝子の同定を進め、農業形質の遺伝子発現マーカー(バイオマーカー)の開発を進める。
  4. RNA-SEQ解析を同じ環境で栽培した複数の品種に関して進め、地域による栽培適性に関する遺伝子を探索し、また、マイクロアレイのプローブデザインの多品種対応を進める。
  5. クラウドの利用等により、システムのプラットホーム化を図り、汎用性をますための開発を進める。

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PFT概略図

実施課題一覧(〜平成29年度)

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課題番号 実施課題名 課題責任者 所属機関
PFT1001 全国で活用できる遺伝子発現予測システムの開発と農業形質予測への展開 東京大学
PFT1002 RNA-Seq法による品種間トランスクリプトーム比較解析手法の開発 農研機構 次世代作物開発研究センター
PFT1003 遺伝子発現予測システムの高度化・汎用化のための基盤ソフトウェアシステム整備 (平成26年度終了) 京都大学
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