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2017年6月1日更新

麦及び飼料作物の有用遺伝子の同定とDNAマーカーの開発

概要

日本人一人あたりの年間コムギ消費量は米の56kgに対して小麦が33kgであり、日本国民は思ったより大量の麦類を消費している。しかし我が国の麦類生産量は消費量の一割程度とあまりに少なく、そのため「食料・農業・農村基本計画」では麦類の栽培面積の拡大と同時に品種開発研究による問題解決を図っている。本研究課題では、穂発芽耐性については単離に成功した遺伝子の形質発現機構解明を行うとともに育種に使いやすいDNA マーカー化を実施する。赤かび病抵抗性、縞萎縮病抵抗性も遺伝子単離を行う。耐湿性やカドミウム蓄積性に関する遺伝子も単離を目指して量的遺伝子座(QTL)のマッピングを進める。収量性の観点から重要な形質である穂の形態については、これまで単離に成功したオオムギ条性遺伝子の形質発現機構解明を行うとともに、コムギ相同遺伝子の機能解明をおこないコムギの画期的多収化へ結びつける。また閉花性遺伝子、細胞質雄性不稔性回復遺伝子等の単離と機能解明を進める。ソルガムにおいても収量増大に必要な茎・葉・穂の形成に関わる遺伝子を同定し、新品種の開発に利用可能なDNAマーカーを開発する。

研究目的

日本における麦類の安定生産と消費を実現するため、これまで蓄積されてきたゲノム情報を活用して生産性や品質維持に関わる有用遺伝子を同定して機能を解明し、DNAマーカーとして品種開発に役立てる。また飼料作物、そしてバイオマス資源作物として重要なソルガムの生産性に関する遺伝子を同定する。対象とする遺伝子は大別して質的遺伝子と量的遺伝子(QTL)の両方あるが、先行する質的遺伝子の研究実績は同じ作物におけるQTL 研究課題のためのモデルとなる。またコムギとオオムギの間でゲノムの共通性が高い利点を生かすため、ほとんどの個別実施課題においてコムギとオオムギの研究を共存させ情報交換を積極的にすすめ、成果への相乗効果をねらう。

達成目標

  1. 麦類のこれまでになく強いレベルの穂発芽耐性を持つ育種素材及び収量増実現のための技術を開発する。
  2. 麦類の縞萎縮病及び赤かび病抵抗性遺伝子の単離を行い、ゲノム育種用のDNAマーカーと物理的な制御技術を開発する。
  3. 麦類のカドミウム集積に関する原因遺伝子を単離し機能を解明して、DNAマーカーを開発する。
  4. 麦類耐湿性の個体別評価方法の確立、耐湿性関連遺伝子マッピング及びゲノム領域の絞り込みを行い、ゲノム育種用のDNAマーカーを開発する。
  5. ソルガム茎葉及び穂の形態形成に関する遺伝子のマッピングを進め、ゲノム育種用のDNAマーカーDNAマーカーを開発する。

研究内容

  1. コムギ・オオムギ休眠性遺伝子の機能解析を進めるほか新規遺伝子の単離を進め、自然変異や人為変異を探索する。オオムギ六条性遺伝子単離と機能解析を行い、相互作用するタンパク質を同定する。オオムギ閉花性関連遺伝子の発現解析及びアリル探索を進める。コムギ同祖遺伝子を同定し各遺伝子の構造及び発現の解析を行なう。また、オオムギ細胞質雄性不稔性回復遺伝子の単離を実施する。
  2. 遺伝材料の養成を続けて実施し、コムギ・オオムギ縞萎縮病抵抗性遺伝子のQTLマッピングとDNAマーカーの開発を行う。病原菌の麦器官や組織への感染時期を解明する。コムギ赤かび病抵抗性遺伝子のQTLマッピング及びゲノム領域への絞り込みを実施し、遺伝子発現解析を行う。また、毒素低減化候補遺伝子の活用によるオオムギ赤かび病抵抗性及び毒素低減化の有効性を評価する。
  3. コムギ・オオムギにおけるカドミウム集積性関連遺伝子のQTLマッピング及び機能解析を実施する。
  4. 高密度染色体遺伝地図の作成及び確実な検定方法の樹立を進め、オオムギ耐湿性関連性遺伝子のQTLマッピングを実施する。
  5. ソルガム茎葉及び穂の形態形成に関わる遺伝子のQTLマッピング及び候補ゲノム領域の絞り込みを行う。

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TRS概略図

実施課題一覧(〜平成29年度)

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課題番号 実施課題名 課題責任者 所属機関
TRS1001 麦類穂発芽耐性遺伝子の単離と形質発現機構解明 農研機構 次世代作物開発研究センター
TRS1002 麦類形態形成遺伝子の単離と形質発現機構解明 農研機構 次世代作物開発研究センター
TRS1003 麦類縞萎縮病抵抗性遺伝子の単離と機能解明 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 中央農業試験場(H25-H27)
農研機構 次世代作物開発研究センター(H28-)
TRS1004 コムギ赤かび病抵抗性遺伝子の単離と機能解明 ホクレン農業総合研究所
TRS1005 オオムギ赤かび病抵抗性遺伝子の単離と機能解明 岡山大学
TRS1006 麦類カドミウム集積性遺伝子の単離と機能解明 岡山大学
TRS1007 麦類耐湿性遺伝子の単離と機能解明 (平成27年度終了) 畜産草地研究所
TRS1008 ソルガム茎葉の形態形成遺伝子の単離と機能解明 農研機構 次世代作物開発研究センター
TRS1009 ソルガム穂の形態形成遺伝子の単離と機能解明 (平成26年度終了) 名古屋大学
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