雨と病気に強いコムギをつくる
パンや麺類など、様々な用途に使われているコムギ。お米と並んで、私たちの生活になくてはならない作物の1つですが、我が国では全消費量の90%以上を輸入に頼っています。
日本国内でコムギ栽培が伸び悩んでいる主な原因は、「穂発芽」と「赤かび病」です。「穂発芽」とは、雨によって収穫前のコムギの種から芽が出てしまう現象。刈り取りが梅雨に重なりやすい日本では、収穫が減ったり品質悪化の原因になるのです。「赤かび病」も、穂が出た後に雨が続くと発生しやすい病気で、収穫が減るだけでなく、コムギの種に赤かびが作る毒がたまってしまいます。
そこで現在、イネゲノムの研究で得た情報を積極的に活用し、穂発芽や赤かび病に対する抵抗力を持つ遺伝子を取り出す研究が進められています。
一方、私たちが普段利用しているコムギは「パンコムギ」と呼ばれ、パスタに使う「マカロニコムギ」と野生の「タルホコムギ」の雑種からできたもの。こちらも、病気に強く品質のよい「パンコムギ」を作るため、野生のタルホコムギが持っている様々な性質をとり入れるための研究が行われています。
今より強いコムギをつくる
「穂発芽」や「赤かび病」に対する抵抗力を持つ遺伝子を見つけ、コムギで利用することができれば、コムギの収穫期と梅雨が重なりやすい日本でも安定して収穫できるようになり、国内自給率も高まるわけだね。