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QⅠ-4 DNAとはどのようなものですか?

 遺伝情報の物質的な実体で、細胞内の核に多く含まれている分子です。デオキシリボ核酸(Deoxyribonucleic acid)の略称です。

 DNAは巨大な繊維状の分子で、生体内では直径2ナノメートル (2nm= 2.0×10-9m)の二重らせん構造を取っています。DNAをさらに細 かくみると、塩基、糖(デオキシリボース)、リン酸の3つの部分に分けられます。生物に使われている塩基は、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類があります。

 これら4種類の塩基の並び方、すなわち塩基配列が遺伝情報を特徴づけています。例えば塩基配列の違いによって、DNAを元に作られるタンパク質のアミノ酸配列が異なります。つまり塩基配列の違いが、タンパク質の物性や機能の差異をもたらしています。

 DNAはコピーされる分子です。細胞分裂によって一つの細胞が二つに増殖するとき、DNAは基本的には正確にコピーされるので、二つの細胞は同じ塩基配列のDNAを持ちます。 これによって、生物の持つ最も基本的な性質『自分で自分と同じものを作ることができる』が実現しています。

  DNAが遺伝情報を子孫に伝達する物質であることは、1944年にアメリカの研究者アベリーが明らかにしました。その後、1953年にイギリスでワトソンとクリックの二人の研究者が、DNAが二重らせんの立体構造を取っていることを明らかにしました。 なお、ワトソンとクリックは、これによって1962年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。