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QⅠ-5 遺伝子、ゲノムとはどのようなものですか?

 ゲノムも遺伝子もDNAで構成されています。

 ゲノムは、生物の細胞に含まれる全てのDNAを指し、そのDNAの塩基配列で決まる全ての遺伝情報のことを言います。

 遺伝子はゲノムの一部分で、生体を形作るタンパク質の設計図になっている箇所を指します。1つの遺伝子が1〜複数個のタンパク質を決めているとます。

  ゲノムには、タンパク質を決めている遺伝子以外の部分も色々あります。代表的なものは次の5つです。

プロモーター、エンハンサー、ターミネーターなど、遺伝子の発現を制御する領域
リボゾームRNA、tRNA、non-coding RNAなどRNA領域
セントロメアやテロメアなど、ゲノムが細胞核の中で染色体を形成する際に重要な領域
トランスポゾンやレトロトランスポゾンなど、ゲノム中を移動する配列の領域
反復配列領域や、その他の機能未知の領域

 ゲノムの大きさは、DNAが何塩基対あるかで表わします。ヒトで約30億塩基対、イネで約4億塩基対、カイコで約5億塩基対、ブタで約27億塩基対です。 ゲノムのDNAを全部一本につなぎ合わせた時の長さは、ヒトで約1mになります。体細胞1個にはゲノムが2セットあるので、細胞1個に含まれるDNAを全部つなぎ合わせると約2mです。

 遺伝子の数は細かく見れば生物種によって違いがありますが、ヒト、農作物、家畜はおおむね数万個の遺伝子を持っています。 ヒト、イネ、ブタは約2万個から3万個の遺伝子を持っています。植物でもリンゴのように約5万7千個と多い場合もあります。