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QⅤ-5 害虫が死んでしまうような遺伝子組換え農作物は、人に対して影響はないのでしょうか?

 バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis )が作る殺虫性タンパク質(Btタンパク質)は、ヒトやウシ、ブタ、ニワトリなどへの影響はありません。

 昆虫の消化管の中がアルカリ性のため、アワノメイガは食べたBtタンパク質を十分に分解できずに殺虫効果を持つ形になり、消化管に存在する『受容体』と呼ばれる部位と結合します。すると、消化管の機能が損なわれ、アワノメイガは食べ物を吸収することができなくなり、餓死してしまいます。

 しかし、ヒトやウシ、ブタ、ニワトリなどは、胃の中が酸性なので、Btタンパク質が分解されるので、殺虫性を示す形では残りません。また、もともとヒトやウシ、ブタ、ニワトリなどは昆虫が持っているような受容体がないので毒性が発揮されることはありません。

 このように、害虫がBtタンパク質を食べて死ぬのは、害虫特有のからだの仕組みによるもので、ヒトが食べても影響ありません。