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ナチュラルオカレンス・セルフクローニング(natural occurrence / self-cloning)
【用語説明】  ナチュラルオカレンスとは、交雑などの自然現象や従来育種法で作り出されうるものを、遺伝子組換え技術を用いて作り出したもの。例えば、ある品種の一つの遺伝子だけを別の品種の対立遺伝子に置き換えたい場合、理論上、時間をかければ戻し交雑でも可能であるが、相同組換えの手法を用いて同じものを短時間に作成することが可能となり、できあがったものの核酸の配列は同一で区別することはできない。
 セルフクローニングは同一種由来の核酸を移植することで、シスジェネシスやイントラジェネシスと同様である。
 ナチュラルオカレンスやセルフクローニングはカルタヘナ議定書やカルタヘナ法上の条文上では規制対象外とされているが、具体的にどのようなものを規制対象とし、あるいは規制対象外とするのか、現在議論が始まったところである。
ヌル分離個体(null-segregant)
【用語説明】  遺伝子組換え個体同士または遺伝子組換え個体と非遺伝子組換え個体を交配して得られた後代の個体の中で、導入した外来遺伝子を持たないもののこと。ヌル(null)は「無」を意味する。新しい育種技術の1つとして、ヌル分離個体の利用が考えられている。
農林水産ジーンバンク(MAFF Gene Bank)
【用語説明】  農林水産分野に関わる生物全般(種子、微生物など)の遺伝資源について収集・保存などを行い、内外の研究者に提供する事業。
 従来、個々の研究機関で行われていた遺伝資源研究事業は、1985年に、全国的なネットワークを有する「農林水産省ジーンバンク事業」となった。1986年には、農業生物資源研究所内に遺伝資源センターを設立し、1993年より植物・微生物・動物・DNAのセンターとした。
 ジーンバンク事業は各部門のセンターバンクと多数の試験研究機関にあるサブバンクとの連携で運営されており、2001年から国立研究開発法人農業生物資源研究所が母体となり運営され、植物・動物・微生物の3部門からなる。
 バイオテクノロジーによる品種改良を効率的に行うため、国の内外から遺伝資源を探索・収集し、分類・同定を行うとともに特性評価、品質評価を実施し、これらを増殖・保存している。このようにして保存されている遺伝資源は、大学や民間企業の研究者に広く提供し活用されている。