国立研究開発法人農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究センター
遺伝子組換え研究推進室 |
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機能性作物研究開発ユニット
機能性作物研究開発ユニットでは、農作物の新しい利用法を開拓するため、医薬品原材料や健康機能性食品など、付加価値の高い新しい作物の実用化に向けた研究開発をしています。
バイオテクノロジーを利用して様々な生物の持つ機能を農作物に導入し、健康機能性成分や医薬品成分等の有用物質を産生する新機能作物を開発しています。具体的には、医薬品成分を含むお米として、スギ花粉症治療米については医薬品開発の制度に則った非臨床試験及び臨床試験に取り組み、ヒトでの安全性で有効な医薬品として実用化を目指します。また、高血圧や肥満などメタボリックシンドロームが 気になる方のための食品に向けたイネの開発を目指します。
また、植物に有用物質を大量に蓄えるために、遺伝子発現を調節する技術、核ではなく葉緑体に外来遺伝子を導入する技術、遺伝子を高発現できる染色体の特定の部位への遺伝子導入技術などの開発を行っています。
さらに、植物細胞内の物質の輸送や蓄積の制御、有用遺伝子産物の発現や蓄積の際に障害となる遺伝子発現の抑制や小胞体ストレス等の解決に向けた研究を進めています。
- <参考(一般の方向け)>
- ● 「食と農の未来を提案するバイオテクノロジー」(小冊子)
耐病性作物研究開発ユニット
農作物の病原菌はカビや細菌など様々です。これらの病原体の感染により、農作物が病気になると作物の生産量は低下し、それを防ぐために高いコストがかかってしまいます。そもそも、植物は多くの病原体に抵抗して、病気になるのを防ぐ能力を潜在的にもっていますが、それらの能力が十分に活用されない場合や病原体の感染力がそれを上回る場合に、作物は病気にかかります。
耐病性作物研究開発ユニットでは、イネのいもち病をはじめとする大きな被害をもたらす重要病害において、病原体が感染しようとする際の作物の反応や潜在的な抵抗性の仕組みを分子レベルでの解明を進めています。また、これらの仕組みに関わる遺伝子をはじめ、病気に対する抵抗性を高める能力をもつ遺伝子を探索しています。
それらを通して得られた知見や遺伝子をうまく活用し、おもに遺伝子組換えを用いて、複数の病気に対して強い作物等、従来の育種法では作り出すことが困難な作物を開発し、農業に貢献することを目指します。
- <参考(一般の方向け)>
- ● 「食と農の未来を提案するバイオテクノロジー」(小冊子)
- <研究成果紹介>
- ● 農薬に頼らず、イネを複数の病気に対して強くする技術を開発 −農作物の安定生産への貢献に期待 −」(2015.2.12 プレスリリース)
- ● 「トビイロウンカに幅広い抵抗性を有するイネの作出に弾み −トビイロウンカを餓死させる遺伝子の特定に成功−」(2014.10.29 プレスリリース)