作物の新特性を開発する放射線育種場では、種子繁殖性作物を対象にして放射線を利用した突然変異育種法およびその利用方法について研究を行っています。イネの半モチ・低アレルゲン・低蛋白・無毛などの新しい突然変異体が得られており、これらは育種に有効に利用されています。また、突然変異の機構を明らかにするため、突然変異遺伝子の分子レベルでの解析も行っています。 育成品種:稲「あかねふじ」(1997年1月30日種苗登録・登録番号第5307号) 「あかねふじ」は、アミロース含量が通常のウルチ品種より低く10〜14%で、炊飯すると強く粘るご飯になります。この特性は加工米に適していて、特に冷凍米飯にした場合に品質の劣化が少ない品種です。
この品種は、「農林8号」の種子にEMS処理をして誘発した突然変異に由来するもので,放射線育種場と(株)加工米研究所との共同研究で,戻し交配と系統選抜を行ったものです. イネのモチ・半モチ突然変異系統の選抜 イネの無毛突然変異体(右) 突然変異遺伝子DNAの分析 突然変異遺伝子のDNA変異部位を決定することにより、ガンマ線による突然変異機構が明らかになります。 イネの貯蔵タンパク質グルテリンサブユニット欠失突然変異体の二次元電気泳動によるタンパク質分析 本研究室では多数のイネ種子タンパク質突然変異系統を作出していますが、これらは育種上有用であるばかりでなく、イネ種子タンパク質の機能の解析にも重要です。 (a)コシヒカリ(野生型) (b)a-1欠失系統 (c)a-2欠失系統 種子繁殖性植物における突然変異体選抜
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