照射と培養の複合による変異の誘発


放射線育種場では、各種の作物について望ましい突然変異を効率よく誘発・選抜する方法の開発を進めています。放射線照射と組織培養の適切な組み合わせによって、種々の突然変異体が高い頻度で誘発できます。また、この方法によれば、キメラのない完全な変異体が得られ、特に栄養繁殖作物では短期間に品種改良が可能になりました。各種の放射線照射法によって、多種の植物において実用的な突然変異品種が育成されています。


育成品種:
沖縄県との共同研究により、桃色花色の原品種「大平」へのガンマ線緩照射と花器培養との組み合わせ等によって、6系統の花色変異品種を育成しました。
左上:「南風(はえ)の初雪(はつゆき)」(黄白色)
中上:「南風(はえ)の美童(みやらび)」(淡桃色)
右上:「南風(はえ)の紅(くれない)」(紫桃色)
左下:「南風(はえ)の夕暮(ゆうぐれ)」(黄桃色)
中下:「南風(はえ)の燦(きらめき)」(黄橙色)
右下:「南風(はえ)の輝(かがやき)」(黄色)

キクの緩照射と花器培養による花色変異品種
イネのカルス培養とその矮性変異体
さとうきびの緩照射と組織培養による変異系統
住友金属工業(株)との共同研究により、ガンマーフィールドに植え付けた原品種「筑波系」のコウライシバ苗から、厳寒期に緑色を保つ変異芽条を選抜しました。その後試験畑に移植して、最も優れた系統を品種登録しました。

コウライシバの常緑性突然変異品種「ウィンターカーペット」(左)と原品種「筑波系」
エノキタケの培養菌糸照射による純白系突然変異品種(左)と着色系統
明治製菓(株)との共同研究により、ガンマ線の急照射と幼胚培養との組み合わせ等によって、エニシダ(原品種「クリムソンキング」)の矮性および花色変異体を育成しました。
これまでに「メイシャワー」「メイワコ」「メイイブ」「メイロゼ」の4系統が種苗登録されました。現在、「メイヒロ」「メイサム」の2系統を品種登録申請中です。

エニシダの幼胚培養照射による矮性突然変異「メイ・イブ」
ガンマーフィールドでの茶の自家和合性突然変異品種「茶中間母本農2号」の選抜

栄養繁殖性植物における突然変異体選抜

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