生物研ニュースNo.52

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会議報告

第6回シンポジウム カイコ産業の未来

遺伝子組換えカイコを用いた動物医薬品の開発を目指して

主任研究員 立松謙一郎の
講演の様子

 1月30日(木曜日)に秋葉原コンベンションホール(東京都千代田区)にて、生物研主催の公開シンポジウム「カイコ産業の未来」が開催されました。本シンポジウムは、生物研が中心となって開発した「遺伝子組換えカイコ技術」のさらなる利用拡大を目指して毎年開かれているもので、遺伝子組換えカイコに関わる技術情報の紹介や、関連分野の方々との意見交換を行っています。6回目となる今年は「動物医薬品の開発」をテーマに取り上げました。最初に農林水産省動物医薬品検査所の能田健氏による基調講演「動物医薬品を巡る情勢」が行われ、動物医薬品の市場動向や承認審査、今後の課題等が報告されました。続く一般講演では、生物研からは主任研究員の立松謙一郎が遺伝子組換えカイコを用いた動物由来サイトカインの大量調製について報告し、さらに農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所の菊佳男氏からは、このサイトカインの牛の乳房炎に対する治療効果について報告されました。また動物医薬品やバイオ製剤メーカーの研究担当者からは、カイコを用いた動物由来タンパク質の生産について、研究開発の現状が報告されました。

 当日は120名を超える参加者が集まり、会場は満席となりました。参加者は民間企業の方が最も多く、また酪農や畜産に関わる地方の試験研究機関からの参加者も目立ちました。来場者アンケートでは、バイオ産業の新技術として遺伝子組換えカイコの活用に期待する声が多く寄せられました。今後も本シンポジウムを通じて様々な分野の方々と広く意見交換を行い、積極的にニーズに対応する研究開発を進めたいと考えています。

満席となったシンポジウム会場

[遺伝子組換え研究センター 昆虫機能研究開発ユニット 宮澤 光博]

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