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お知らせ
平成20年5月22日
独立行政法人 農業生物資源研究所

オオムギの実と殻を分ける遺伝子を特定、4月25日岡山大学で記者発表


岡山大学資源生物科学研究所 遺伝資源機能解析グループの武田 真ほか、香川大学、岡山大学、三重大学、および農業生物資源研究所(つくば市)等の研究グループは、実と殻がくっついている一般的なオオムギ(皮麦)と、きれいに分かれ食用に適したオオムギ(裸麦)の違いを決める遺伝子を世界で初めて突き止め、米科学アカデミー紀要電子版に2008年3月4日発表しました。

このことについて、平成20年4月25日、岡山大学において発表されたことをお知らせします。

プレスリリース
平成20年4月25日
岡山大学 資源生物科学研究所
香川大学
三重大学
独立行政法人 農業生物資源研究所

オオムギの実と殻を分ける遺伝子を特定


オオムギの皮麦と裸麦の写真、種子と穂
                皮麦                      裸麦                          皮麦              裸麦

オオムギは食物繊維を多量に含み健康食品として注目されるが,通常のオオムギは実と殻が固く接着しており,ビール原料などの用途を除き,食用には不向きである.しかし,一部のオオムギは実と殻がきれいに分かれる性質があり裸麦とよばれる.現在,裸麦は日本を含む東アジア地域で多く栽培され,特にチベットやネパールなどの高地では主食として利用されている.

我々の研究グループは8年かけてオオムギの遺伝情報を比較し,皮麦と裸麦の違いがERF転写因子によって決まることを明らかにした.今回特定したERF転写因子は実と殻の間の脂質を作らせる働きがあり,裸麦では突然変異によりこの遺伝子が働らかなくなり実と殻がきれいに分かれるとみられる.

考古学的研究から裸麦は今から約8千年前メソポタミア文明で耕作が始まったと推定される.世界各地の裸麦100品種を調べたところ,全てに共通してERF遺伝子を含む同じ染色体領域が欠けていることがわかった.メソポタミア地域で起きた1回の突然変異により皮麦から裸麦が生じ,それが世界各地に広まった可能性が高いことが遺伝子の研究からわかった.

オオムギの野生種の中には実は小さいが塩害や寒害などの環境ストレスに強いものがある.今後,この遺伝子に着目して品種改良を進めれば,未利用の野生種を人の食用に変えることが出来るのではないかと期待される.

香川大学,岡山大学,三重大学,および農業生物資源研究所(つくば市)等の共同研究である.代表者の武田真が平成20年4月1日付で香川大学から岡山大学資源生物科学研究所に異動したため,岡山大学から再度記者発表させていただいた.


Shin Taketa, Satoko Amano, Yasuhiro Tsujino, Tomohiko Sato, Daisuke Saisho, Katsuyuki Kakeda, Mika Nomura, Toshisada Suzuki, Takashi Matsumoto, Kazuhiro Sato, Hiroyuki Kanamori||, Shinji Kawasaki, and Kazuyoshi Takeda
Barley grain with adhering hulls is controlled by an ERF family transcription factor gene regulating a lipid biosynthesis pathway
PNAS 2008 105: 4062-4067; published online on March 3, 2008, 10.1073/pnas.0711034105 (PLANT BIOLOGY)

問合せ先:武田 真
  電子メール:staketa@rib.okayama-u.ac.jp、電話:086−434−1237


【掲載新聞】3月4日(火):山陽新聞(夕刊)、3月5日(水):山陽新聞、四国新聞、5月6日(火):読売新聞(岡山版)、5月8日(木):毎日新聞(同)、朝日新聞(同)

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