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プレスリリース
平成21年8月17日
独立行政法人 農業生物資源研究所

植物の免疫システムをかいくぐる、
カビの「ステルス作戦」の発見

- 病原カビに対する新たな防除法の開発に期待 -


ポイント
  • イネいもち病菌は、イネの免疫系が認識できない物質で菌の表面を覆うことによってイネの免疫システムをかいくぐり、イネに感染できることを発見
  • 病原カビに対する免疫力を高めた抵抗性作物の作出や、免疫力を高める薬剤の開発につながると期待

概要                                                                                            

農業生物資源研究所は、イネ科植物の病原性のカビであるいもち病菌が植物の自然免疫システムをかいくぐって感染する機構を解明しました。

植物には侵入してきた感染菌を認識し、攻撃する免疫システムがあります。このシステムは、植物にカビが侵入すると、カビが共通して持っている細胞壁成分などを植物が認識し、次いで、カビの細胞壁を分解する酵素などを作り出してカビを攻撃するものです。ところが、イネいもち病菌は免疫システムをかいくぐってイネに感染できます。長い間その「かいくぐる」メカニズムは不明でした。今回、イネいもち病菌がイネに侵入する時に、イネの免疫システムに見つからないような「ステルス作戦」をしていることがわかりました。すなわち、イネいもち病菌は、イネの表面のワックス成分を認識すると、α-1,3-グルカンという物質で菌の表面を覆うことにより、イネの自然免疫システムに探知されずに感染できることが明らかになりました。

この成果により、「どのように感染カビは植物の自然免疫システムに攻撃されずに感染するのか?」という謎を解くことができました。現在この成果を活用して、α-1,3-グルカン分解ができる植物の作出及びα-1,3-グルカンの合成を阻害する薬剤の開発に向けた研究を継続しています。

この成果の概要は、Molecular Microbiology 73巻4号に掲載されます。

予算:生研センター「生物系産業創出のための異分野融合研究支援事業」(H17年度〜H21年度)、農水省委託プロ「新農業展開ゲノムプロジェクト」(H20年度〜H24年度)
特許:特願2009-062350

参考資料 [PDFファイル:152キロバイト]
図1

Takashi Fujikawa, Yukari Kuga, Shigekazu Yano, Akira Yoshimi, Takashi Tachiki, Keietsu Abe, Marie Nishimura
Dynamics of cell wall components of Magnaporthe grisea during infectious structure development (p 553-570)
Published Online: Jul 7 2009 10:51PM DOI:10.1111/j.1365-2958.2009.06786.x

問い合わせ先など                                                                            

研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長石毛光雄
研究推進責任者:(独)農業生物資源研究所 植物科学領域長飯  哲夫
研究担当者:(独)農業生物資源研究所 植物・微生物間相互作用研究ユニット
主任研究員 西村麻里江
電話:029−838−8461、電子メール:marie@affrc.go.jp
特別研究員 藤川貴史
広報担当者:(独)農業生物資源研究所 広報室長新野孝男
電話番号:029−838−8469


【掲載新聞】 8月24日月曜日:化学工業日報、8月28日金曜日:日本農業新聞、9月1日火曜日:日刊工業新聞、9月4日金曜日科学新聞

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