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プレスリリース
平成22年3月5日
独立行政法人 農業生物資源研究所

ミヤコグサで効率的な遺伝子機能の解析法を開発

- ダイズなどマメ科植物で農業上有用な遺伝子の特定の加速化に期待 -


ポイント
  • マメ科モデル植物ミヤコグサで遺伝子組換え技術を用いないで効率的に遺伝子を破壊し、その遺伝子の機能を解析する技術を確立。
  • ダイズなどマメ科作物で農業上有用な遺伝子の特定やそれを活用した品種改良の加速化に期待。

概要                                                                                             

農業生物資源研究所は、かずさDNA研究所、農研機構作物研究所、デンマーク・オーフス大学と協力して、マメ科のモデル植物であるミヤコグサで、効率的に遺伝子を破壊し、その遺伝子の機能を解析する技術を開発しました。

植物を含む真核生物のゲノムDNAには、何の為に存在しているのか分からない配列が多数含まれています。その一つであるレトロトランスポゾンは、そのコピー(分身)を作り、ゲノムの別の場所に割り込むことができます。これを転移と呼びます。転移先が遺伝子の場合、その遺伝子が分断されて機能が損なわれてしまうため、レトロトランスポゾンは、通常は転移しないように眠らされた状態にあります。今回、私たちはミヤコグサがもつレトロトランスポゾンLORE1を、その眠りから人為的に目覚めさせ、転移させることに成功しました。さらに、その転移のパターンを解析し、主に花粉で転移することを突き止めました。

今回の成果により、ミヤコグサではLORE1を転移させることにより、効率的な遺伝子破壊とその機能の解析が可能となりました。今後、この方法を活用することでミヤコグサから窒素固定等の農業上有用な遺伝子の特定が加速化され、その情報を利用して、同じマメ科の作物であり日本の農業にとって最も重要な作物の一つであるダイズからの有用遺伝子の特定、ひいてはそれを活用した品種改良の加速化が期待されます。

この成果は、2010年3月5日に PLoS Genetics で公開されます。

予算 運営費交付金プロジェクト「共生遺伝子同定解析の高密度化研究」(2009年度〜現在)、日本学術振興会 特別研究員奨励費(2006〜2008年度)

参考資料 [PDF:248キロバイト]


Eigo Fukai, Yosuke Umehara, Shusei Sato, Makoto Endo, Hiroshi Kouchi, Makoto Hayashi, Jens Stougaard, Hirohiko Hirochika
Derepression of the Plant Chromovirus LORE1 Induces Germline Transposition in Regenerated Plant
PLoS Genetics | March 2010 | Volume 6 | Issue 3 | e1000868. doi:10.1371/journal.pgen.1000868

問い合わせ先など                                                                              

研究責任者:(独)農業生物資源研究所 理事長石毛 光雄
研究推進責任者:(独)農業生物資源研究所 基盤研究領域 領域長廣近 洋彦
研究推進責任者:(独)農業生物資源研究所 耐環境ストレス研究ユニット ユニット長林  誠
電話番号:029-838-8282
研究担当者:(独)農業生物資源研究所 耐環境ストレス研究ユニット 特別研究員
現(財)かずさDNA研究所 植物ゲノム研究部 植物遺伝子研究室 研究員 深井 英吾
広報担当者:(独)農業生物資源研究所 広報室長川崎建次郎
電話番号:029-838-8469


 【掲載新聞】 3月11日木曜日:化学工業日報、3月19日金曜日:科学新聞、4月7日水曜日:日経産業新聞

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