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穂発芽耐性遺伝子の特定- 降雨による品質低下を防ぐ -ポイント
概要植物の種子は環境が植物の生存に適した状態になると発芽します。収穫前に降雨や温度の条件がそろった場合は、穂についたままの種子が発芽することがあり、穂発芽と呼ばれています。穂発芽した種子は商品価値が全くなくなるため、その解決が求められています。農業生物資源研究所は作物研究所、名古屋大学および理化学研究所と共同で、強い穂発芽耐性(種子休眠性)を持つカサラースと呼ばれるインド稲から、穂発芽を起こしにくくなる原因となる遺伝子の一つであるSdr4を特定し、その機能を解析しました。その結果、Sdr4は種子休眠のみを制御する遺伝子であることが明らかになり、穂発芽耐性を付与してもその他の農業形質には影響を与えない、品種改良に適した遺伝子であることがわかりました。 地球温暖化による近年の気温の上昇、多雨などからイネの穂発芽耐性の向上が必要になってきており、Sdr4はイネの品種改良に有用です。また、同じイネ科作物で、穂発芽による被害がより深刻なコムギの穂発芽耐性遺伝子の解明と耐性付与への貢献が期待されます。 この成果は、2010年3月10日に米国科学アカデミー紀要(PNAS)のオンライン版で公開されました。
参考資料 [PDF:466キロバイト]
Kazuhiko Sugimoto, Yoshinobu Takeuchi, Kaworu Ebana, Akio Miyao, Hirohiko Hirochika, Naho Hara, Kanako Ishiyama, Masatomo Kobayashi, Yoshinori Ban, Tsukaho Hattori, and Masahiro Yano
Molecular cloning of Sdr4, a regulator involved in seed dormancy and domestication of rice PNAS March 30, 2010 vol.107 no.13 5792-5797 published ahead of print March 10, 2010, doi:10.1073/pnas.0911965107 問い合わせ先など
【掲載新聞】 4月2日金曜日:日経産業新聞、日本農業新聞、4月7日水曜日:化学工業日報、4月9日金曜日:朝日新聞 トップページ > プレスリリースリスト > 穂発芽耐性遺伝子の特定 |