農業生物資源研究所 - プレスリリース - 「コシヒカリ」の全ゲノム塩基配列解読

- 日本のおコメの起源と変遷が明らかに -

ポイント

日本人にとって最も重要なイネ品種「コシヒカリ」の全ゲノム塩基配列を解読。

日本のイネ品種改良に伴う遺伝子の組み合わせの変化を詳細に解明。

品種改良の飛躍的な進展に期待。

概要

１）

　　独立行政法人農業生物資源研究所は、２００４年に国際コンソーシアムの中心としてイネ品種「日本晴」の全ゲノム塩基配列を解読し、ゲノム情報を利用した遺伝子の単離・機能解析を進めてきました。今回、私達は日本人にとって最も重要なイネ品種「コシヒカリ」の全ゲノム塩基配列を解読しました。

２）

　　日本のイネの品種改良には１５０年の歴史があります。コシヒカリは開発から既に半世紀が経過した品種ですが、そのおいしさから日本人に愛され、３０年に亘って日本一の栽培面積と生産量を維持しています。コシヒカリの持つ遺伝子の特徴を理解することは、日本に適したイネ品種を効率よく育成するために極めて重要です。

３）

　　今回、近年急速に進展した遺伝子配列解読技術を用いて、コシヒカリの全ゲノム塩基配列を短期間で解読し、その配列を既に全ゲノム塩基配列が明らかとなっている「日本晴」と比較することにより、６７，０５１か所の塩基配列の違い（一塩基多型：ＳＮＰ^※１）を見出しました。さらに、品種改良の歴史において重要な１５１の品種を選び、それぞれについてゲノム全体をカバーする１，９０７か所のＳＮＰを調査してコシヒカリのゲノムの起源を明らかにしました。これは日本のイネにおける品種改良の歴史を遺伝子レベルで明らかにした初めての成果であり、今後の品種育成を効率的に行うために重要な情報基盤となります。

４）

　　この成果は、２０１０年４月２７日に BMC Genomics （英国のオンライン専用の科学雑誌）で公開されました。

予算：

農林水産省・委託プロジェクト「新農業展開ゲノムプロジェクト」（平成２０年度－現在）

参考資料 [PDFファイル：548キロバイト]

Fine definition of the pedigree haplotypes of closely related rice cultivars by means of genome-wide discovery of single-nucleotide polymorphisms Open Access
Toshio Yamamoto, Hideki Nagasaki, Jun-ichi Yonemaru, Kaworu Ebana, Maiko Nakajima, Taeko Shibaya, Masahiro Yano
BMC Genomics 2010, 11:267 doi:10.1186/1471-2164-11-267
The electronic version of this article is the complete one and can be found online at: http://www.biomedcentral.com/1471-2164/11/267
Received: 15 December 2009, Accepted: 27 April 2010, Published: 27 April 2010

問い合わせ先など

研究代表者：

(独)農業生物資源研究所

理事長

石毛光雄

研究推進責任者：

(独)農業生物資源研究所

ＱＴＬゲノム育種研究センター長

矢野昌裕

電話番号：029-838-7135、電子メール：myano@affrc.go.jp

研究担当者：

(独)農業生物資源研究所

ＱＴＬゲノム育種研究センター

主任研究員

山本敏央

特別研究員

長崎英樹

広報担当者：

(独)農業生物資源研究所

広報室長

川崎建次郎

電話番号：029-838-8469

【掲載新聞】 ５月２５日火曜日：読売新聞、日本経済新聞、日経産業新聞、日本農業新聞、化学工業日報、５月２８日金曜日：朝日新聞、５月３１日月曜日：日本農業新聞、農業共済新聞、６月４日金曜日：科学新聞、６月８日火曜日：日経産業新聞、６月２１日月曜日：産経新聞