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プレスリリース
農業生物資源研究所ロゴマーク
平成22年12月6日
独立行政法人 農業生物資源研究所

広範な植物病原菌に対する抵抗性を付与する遺伝子を発見

- 複数の病害に抵抗性のある作物開発に貢献 -


ポイント
  • 複数の病害に対する抵抗性を付与する遺伝子BSR1をイネから発見
  • 細菌病と糸状菌病に効果があり、単子葉植物と双子葉植物のいずれでも利用可能
  • この遺伝子を利用して複数の病害に抵抗性のある作物の開発が期待

概要

1. (独)農業生物資源研究所は、理化学研究所植物科学研究センター、岡山県農林水産総合センター生物科学研究所と共同で、4種類の病原菌に対する抵抗性を付与する遺伝子BSR1をイネから見出しました。
2.BSR1遺伝子は、シロイヌナズナを用いてイネの有用遺伝子を効率よく探索できるFOXハンティング1)という手法を用いて特定しました。BSR1遺伝子を高レベルに発現しているシロイヌナズナは、細菌病のトマト斑葉細菌病と糸状菌病のアブラナ科野菜類炭疽病の両方に抵抗性を示しました。また、イネでこの遺伝子を高レベルに発現させると、細菌病の白葉枯病および糸状菌病のいもち病に抵抗性を示しました。細菌病と糸状菌病の両方に効果があり、しかも単子葉植物と双子葉植物の両方で利用できる遺伝子はほとんど知られていません。将来、この遺伝子を利用することにより、細菌病、糸状菌病両方の病害に抵抗性を有する作物の開発が期待できます。
3.この成果は、2010年10月18日に Plant Biotechnology Journal オンライン版で公開されました。
予算:文部科学省科学技術振興調整費プロジェクト「イネ完全長cDNAによる有用形質高速探索」(H17-19)、所内交付金プロジェクト「イネ−ナズナFOX系統を用いた複合抵抗性遺伝子の同定及び耐病性機構の解析」(H21-22)
特許:特願2008-217603(国内)、WO 2010/023974 A1(海外)
参考資料 [PDFファイル:236キロバイト]
Joseph G. Dubouzet, Satoru Maeda, Shoji Sugano, Miki Ohtake, Nagao Hayashi, Takanari Ichikawa, Youichi Kondou, Hirofumi Kuroda, Yoko Horii, Minami Matsui, Kenji Oda, Hirohiko Hirochika, Hiroshi Takatsuji, and Masaki Mori
Screening for resistance against Pseudomonas syringae in rice-FOX Arabidopsis lines identified a putative receptor-like cytoplasmic kinase gene that confers resistance to major bacterial and fungal pathogens in Arabidopsis and rice.
Plant Biotechnology Journal ( Article first published on line: 18 OCT 2010, DOI: 10.1111/j.1467-7652.2010.00568.x )

「イネFOXナズナ系統に対する Pseudomonas syringae 抵抗性選抜により、シロイヌナズナ及びイネに細菌病抵抗性及び糸状菌病抵抗性を付与する受容体様細胞内リン酸化酵素遺伝子を同定した」

問い合わせ先など

研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長石毛 光雄
研究推進責任者: (独)農業生物資源研究所植物科学研究領域長飯  哲夫
研究推進責任者: (独)農業生物資源研究所植物科学研究領域
耐病性研究ユニット長高辻 博志
研究責任者: (独)農業生物資源研究所植物科学研究領域
耐病性研究ユニット 上級研究員 森  昌樹
電話番号:029-838-7008、電子メール:morimasa@affrc.go.jp
耐病性研究ユニット 主任研究員 菅野 正治
広報担当者:(独)農業生物資源研究所 広報室長川崎建次郎
電話番号:029-838-8469


【掲載新聞】 12月7日火曜日:毎日新聞、茨城新聞、日本農業新聞、日経産業新聞、化学工業日報、12月17日金曜日:科学新聞

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