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プレスリリース
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平成22年12月22日
独立行政法人 農業生物資源研究所

効果の高い穂いもち抵抗性遺伝子を単離


ポイント
  • ゲノム情報を利用して、「穂いもち」抵抗性遺伝子をはじめて単離しました。
  • 「穂いもち」抵抗性の維持に寄与してきたと思われるこの遺伝子の特徴を発見しました。
  • 「穂いもち」抵抗性を獲得した遺伝子の進化の過程が明らかになりました。

概要

1. (独)農業生物資源研究所は、愛知県農業総合試験場、(独)農研機構 北海道農業研究センター、農林水産先端技術研究所と共同で、穂いもち抵抗性遺伝子を単離し、構造と機能を明らかにしました。
2. いもち病はイネに大きな被害を与える病害ですが、特に穂で発生する穂いもちは、米の収量や品質の低下を招きます。私たちは、ゲノム情報を利用して、効果が高く持続性のある穂いもち抵抗性を発揮させる圃場抵抗性(1)遺伝子Pb1を特定して単離し、構造と機能を明らかにしました。
3. Pb1遺伝子による穂いもち抵抗性は、交配によってイネの品種に導入され、30年にわたって安定性が発揮されてきました。今回、Pb1遺伝子の発現パターンを調べることにより、穂いもちに特に効果が高く抵抗性が長期間維持されてきた要因の一つと思われる特徴を発見しました。
4. Pb1遺伝子は、進化の過程において、あるゲノム領域が重複した結果、抵抗性を獲得したことが明らかになりました。
5. この成果は、英国科学雑誌 The Plant Journal の2010年11月1日号で公開されました。
予算:農林水産省プロジェクト「遺伝地図とミュータントパネルを利用した単離および機能解明」「QTL遺伝子解析の推進」(H15〜H19)、科研費スタートアップ(H18〜H19)
特許:特願2008-313434「イネ穂いもち圃場抵抗性遺伝子Pb1とその利用」
参考資料 [PDFファイル:359キロバイト]
Nagao Hayashi, Haruhiko Inoue, Takahiro Kato, Taketo Funao, Masaki Shirota, Takehiko Shimizu, Hiroyuki Kanamori, Hiroko Yamane, Yuriko Hayano-Saito, Takashi Matsumoto, Masahiro Yano and Hiroshi Takatsuji
Durable panicle blast-resistance gene Pb1 encodes an atypical CC-NBS-LRR protein and was generated by acquiring a promoter through local genome duplication.
The Plant Journal 64: 498-510 (2010) ( Article first published online: 5 OCT 2010 | DOI:10.1111/j.1365-313X.2010.04348.x )

問い合わせ先など

研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長石毛 光雄
研究推進責任者: (独)農業生物資源研究所植物科学研究領域
耐病性研究ユニット長高辻 博志
研究担当者: (独)農業生物資源研究所植物科学研究領域
耐病性研究ユニット 上級研究員 林  長生
電話番号:029-838-7470、電子メール:nhayash@affrc.go.jp
耐病性研究ユニット 研究員 井上 晴彦
愛知県農業総合試験場作物研究部 部長 工藤  悟
電話番号:0561-62-0085、内線:500
広報担当者:(独)農業生物資源研究所 広報室長川崎建次郎
電話番号:029−838-8469


【掲載新聞】 12月23日木曜日:日本農業新聞、12月24日金曜日:日経産業新聞、化学工業日報、平成23年1月26日水曜日:農業共済新聞

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