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(独)農業生物資源研究所の省略形としては
「生物研」を使用願います。
生物研
解禁時間は、12月19日(水曜日)
午前1時(新聞は朝刊から)
プレスリリース
平成24年12月14日
独立行政法人 農業生物資源研究所

昆虫の黒い色素の合成を抑える方法を発見

- 肉眼で簡便に判別できる遺伝子組換えマーカーの開発に期待 -

ポイント
  • カイコの「アリールアルキルアミンNアセチルトランスフェラーゼ遺伝子」を用いて、カイコ、ショウジョウバエ、テントウムシにおいて、体表の黒い色素の形成を抑えることに成功しました。
  • 本遺伝子を遺伝子組換えマーカーとして活用することで、遺伝子組換え体の選抜が格段に簡便になり、遺伝子の機能解析や有用物質生産へ向けた研究開発の加速化が期待されます。

概要

  1. 昆虫の体表の黒い色は、多くの場合「メラニン系色素1)」という色素によるもので、ドーパミン2)から合成される「ドーパミンメラニン」が主要な色素であると考えられています。メラニン系色素は、幅広い昆虫で模様に重要な役割を果たしていますが、それを人為的に操作する方法についてはほとんど分かっていませんでした。
     今回、(独)農業生物資源研究所(生物研)は、名古屋大学と共同で、カイコ、キイロショウジョウバエ、テントウムシ(ナミテントウ)の3種の昆虫において、カイコのアリールアルキルアミンNアセチルトランスフェラーゼ(Bm-aaNAT )遺伝子を強く働かせることで、ドーパミンメラニンの合成が阻害され、その結果体表の黒い色素の合成が抑えられることを発見しました。
  2. この遺伝子は、色の変化を肉眼で判別可能でかつ優性形質3)を持つ遺伝子組換えマーカーとして複数の昆虫に対して利用できるという特徴があります。このような遺伝子はこれまでに報告がなく、世界で初めての例となります。
  3. Bm-aaNAT 遺伝子を遺伝子組換えマーカーとして活用することで、遺伝子組換え体の選抜が肉眼で容易に判別できるようになり、格段に簡便になることから、有用遺伝子の機能解析や、有用物質生産へ向けた研究開発が加速化されることが期待されます。
  4. この成果は12月18日、英国科学誌Nature Communicationsに掲載予定です。
予算区分 : 運営費交付金
昆虫
プレスリリース全文 [PDF:527KB]
【発表論文】

Mizuko Osanai-Futahashi, Takahiro Ohde, Junya Hirata, Keiro Uchino, Ryo Futahashi, Toshiki Tamura, Teruyuki Niimi, Hideki Sezutsu.

A visible dominant marker for insect transgenesis.

Nature communications DOI:10.1038/ncomms2312

Nature communications(12月18日号)の FEATURED IMAGE に選ばれました。
図の詳細は、プレスリリース全文 [PDF] の図2参照 
FEATURED IMAGEの写真

問い合わせ先など

研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長石毛 光雄
研究推進責任者:(独)農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究センター
 遺伝子組換えカイコ研究開発ユニット ユニット長瀬筒 秀樹
研究担当者:(独)農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究センター
 遺伝子組換えカイコ研究開発ユニット 特別研究員二橋 美瑞子
 電話:029-838-6091 E-mail:mfutahashi@nias.affrc.go.jpp
名古屋大学 大学院生命農学研究科 助教新美 輝幸
広報担当者:(独)農業生物資源研究所 広報室長 井濃内 順
 電話:029-838-8469
本資料は筑波研究学園都市記者会、農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブに配付しています。

【掲載新聞】 12月19日水曜日:化学工業日報

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