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生物研
プレスリリース
平成26年8月25日
独立行政法人 農業生物資源研究所

カイコの卵で導入遺伝子を強力に働かせることに成功

−組換えカイコによる有用物質生産技術を使いやすく−

ポイント
  • カイコの卵で遺伝子を強く働かせるプロモーターを発見しました。
  • これまで、組換えカイコを作出する際、目的の遺伝子が導入された卵の選抜には熟練が必要でしたが、このプロモーターを利用することにより、誰でも素早く正確に目的とするカイコの卵を選抜できます。
概要
  1. カイコはタンパク質生産能力が高く、検査薬などに使われる有用タンパク質を生産する遺伝子組換えカイコを利用した有用物質生産の事業化も始まっています。
  2. しかしながら、目的の遺伝子が組込まれた組換えカイコができる確率は数百分の1であり、生育後に選抜する方法では非常に効率が悪いため、卵の段階で目的とするカイコを容易に選抜する技術開発が望まれていました。
  3. 卵での選抜には、「マーカー遺伝子」の働きを見ることで選抜を行うことになりますが、このたび、独立行政法人農業生物資源研究所(生物研)は、マーカー遺伝子を強力に働かせるためのプロモーター1)を発見しました。また、このプロモーターは卵のほか、幼虫、蛹、成虫の全ての成長段階において強く働くことがわかりました。
  4. このプロモーターを利用すれば、マーカー遺伝子の働きを容易に確認することが可能なため、卵の段階で目的とするカイコを容易に判別できるようになり、選抜作業は飛躍的に効率化します。
  5. また、このプロモーターは、カイコのどの組織でも同様に強く働くため、さまざまな遺伝子の機能をこれまでよりも容易に調べることが可能となり、有用物質生産の効率化や害虫制御剤の開発などに繋がります。

予算:運営費交付金

特許:特願2013-168655

プレスリリース全文 [PDF:346KB]
【発表論文】

Tsubota T, Uchino K, Suzuki T.K, Tanaka H, Kayukawa T, Shinoda T, Sezutsu H (2014) Identification of a novel strong and ubiquitous promoter/enhancer in the silkworm Bombyx mori. G3: Genes, Genomes, Genetics 4(7):1347-1357
(DOI: 10.1534/g3.114.011643

問い合わせ先など
研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長廣近 洋彦
研究推進責任者:(独)農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究センター
 遺伝子組換えカイコ研究開発ユニットユニット長瀬筒 秀樹
研究担当者:(独)農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究センター
 遺伝子組換えカイコ研究開発ユニット任期付研究員坪田 拓也
 電話:029-838-6091  E-mail:tsubota@affrc.go.jp
(独)農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究センター
 遺伝子組換えカイコ研究開発ユニット主任研究員内野 恵郎
広報担当者:(独)農業生物資源研究所広報室長谷合 幹代子
 電話:029-838-8469
本資料は筑波研究学園都市記者会、農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブに配付しています。

【掲載新聞】 8月27日日経産業新聞
8月29日化学工業日報

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