トップページ > プレスリリースリスト > イネの栄養の吸収と蓄積を促進させる遺伝子を発見

生物研
プレスリリース
平成28年3月29日
国立研究開発法人農業生物資源研究所

イネの栄養の吸収と蓄積を促進させる遺伝子を発見

−少ない肥料でのイネの収量アップに向けて−

ポイント
  • 複数の栄養素をバランスよく吸収し、収量を向上させるイネの遺伝子を発見しました。
  • この遺伝子を強く働かせたイネは、少肥料栽培での収量が最大で約2割増加しました。
  • 新たな品種や栽培技術の開発により少ない肥料でこれまでと同様の収量を得ることが可能となります。
概要
  1. 国立研究開発法人農業生物資源研究所(生物研)は、植物の主要な栄養素(窒素、リン酸、カリウム)を含む複数の栄養素をバランスよく吸収し、蓄積を促進させるイネのRDD1遺伝子を発見しました。
  2. 単独の栄養素の吸収・蓄積に関わる遺伝子は報告されていましたが、複数の栄養素の吸収・蓄積をバランス良く促進させる遺伝子は初めての発見です。
  3. 人為的にRDD1遺伝子を強く働かせたイネは、特別栽培米と同等の少化成肥料栽培での収量が普通のイネと比べ最大で約2割増加しました。
  4. 新たな品種や栽培技術の開発により、RDD1遺伝子の機能を強化することで、少ない肥料で通常と同様の収量を得ることが可能になります。少ない肥料での栽培は、低コスト化に加え、土壌に残った余分な肥料による環境汚染を防ぐメリットがあります。
  5. この成果は、1月5日に英国の科学雑誌The Plant Journalでオンラインにて発表されました。
予算:戦略的創造研究推進事業(さきがけ)「二酸化炭素資源化を目指した植物の物質生産力強化と生産物活用のための基盤技術の創出」(平成25〜28年度)
プレスリリース全文 [PDF:267KB]
【発表論文】

Iwamoto M, Tagiri A (2016) MicroRNA-targeted transcription factor gene RDD1 promotes nutrient ion uptake and accumulation in rice The Plant Journal 85(4):466-477
doi: 10.1111/tpj.13117

問い合わせ先など
研究代表者:農業生物資源研究所 理事長 廣近 洋彦
研究推進責任者:農業生物資源研究所 植物科学研究領域 領域長 飯 哲夫
農業生物資源研究所 植物科学研究領域
 植物生産生理機能研究ユニットユニット長 宮尾 光恵
研究担当者:農業生物資源研究所 植物科学研究領域
植物生産生理機能研究ユニット主任研究員 岩本 政雄
 電話:029-838-7463 E-mail:iwamas@affrc.go.jp
広報担当者:農業生物資源研究所 広報室長 谷合 幹代子
 電話:029-838-8469
本資料は筑波研究学園都市記者会、農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブに配付しています。

【掲載新聞】  3月30日日本農業新聞、化学工業日報

↑PAGE TOP