].独立行政法人農業生物資源研究所(平成13年)

1.独法化の背景
(1)中央省庁等改革の動き

 平成8年11月21日に政府は、“複雑多岐にわたる行政の課題に柔軟かつ的確に対応するため必要な国の行政機関の再編及び統合の推進に関する基本的かつ総合的な事項を調査審議すること”を目的とした「行政改革会議」(会長:橋本龍太郎内閣総理大臣)を設置し、行政機構を企画立案部門と実施機関とに分離(エージェンシー化)する方向について検討を開始した。その後、平成10年6月12日に「中央省庁等改革基本法」が公布され、@国の行政機関の再編成(農林水産省の名称はそのまま残った)並びに国の行政組織並びに事務および事業の減量、効率化、A独立行政法人制度の導入、B試験研究機関の組織および人員の効率化および重点化の推進等が決定された(関係すると思われる箇所を下に抜粋した)。

「中央省庁等改革基本法」         (平成10年6月12日公布、平成10年法律第103号)
 (目的)
第1条 この法律は、平成9年12月3日に行われた行政改革会議の最終報告の趣旨にのっとって行われる内閣機能の強化、国の行政機関の再編成並びに国の行政組織並びに事務及び事業の減量、効率化等の改革(以下「中央省庁等改革」という。)について、その基本的な理念及び方針その他の基本となる事項を定めるとともに、中央省庁等改革推進本部を設置すること等により、これを推進することを目的とする。
 (中央省庁等改革に関する基本理念)
第2条 中央省庁等改革は、内外の社会経済情勢の変化を踏まえ、国が本来果たすべき役割を重点的に担い、かつ、有効に遂行するにふさわしく、国の行政組織並びに事務及び事業の運営を簡素かつ効率的なものとするとともに、その総合性、機動性及び透明性の向上を図り、これにより戦後の我が国の社会経済構造の転換を促し、もってより自由かつ公正な社会の形成に資することを基本として行われるものと する。
 (農林水産省の編成方針)
第23条 農林水産省は、次に掲げる機能及び政策の在り方を踏まえて編成するものとする。
 1 食料の安定供給の確保の観点から、国、地方公共団体及び生産者の役割について、その分担の明確化を図ること。
 2 農業生産、流通加工、農村及び中山間地域対策等における地方公共団体の役割について、その拡大及び地方分権の徹底を図ること。
 3 消費者及び原料需要者の視点を重視すること。
 4 生産性の高い農業を実現するための農業構造の改善を推進すること。
 5 自由で効率的な農業経営の展開を可能とするための施策を推進するとともに、これに併せて生産者の所得を補償する政策への転換について検討すること。
 6 国土及び環境の保全、景観の保全等の農林水産業のもつ多面的機能の位置付けを明確化すること。
 7 第46条に定めるところによる公共事業の見直しを行うこと。
 8 統計調査の実施において、地方公共団体及び民間の能力の大幅な活用を図ること。
 9 森林行政について、環境行政との緊密な連携を確保すること。
 10 食品行政について、労働福祉省との間の責任の分担を明確化するとともに、同省との緊密な連携を確保すること。
 11 農業構造の改善に係る公共事業については、真に食料の安定供給の確保に資するものに限り、必要やむを得ず整備するものについては、国土交通省との相互協議を通じ、同省が所管する公共事業との整合的な実施を図ること。
 12 農村及び中山間地域等の振興について、第二十八条に規定する政策調整のための制度の活用等により、他の府省の行政との総合性を確保すること。
 13 動植物検疫機関について、出入国管理機関、税関及び検疫機関との密接な連携を確保すること。
 (独立行政法人)
第36条 政府は、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要はないが、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるか、又は一の主体に独占して行わせることが必要であるものについて、これを効率的かつ効果的に行わせるにふさわしい自律性、自発性及び透明性を備えた法人(以下 「独立行政法人」という。)の制度を設けるものとする。
 (法令による規律)
第37条 政府は、独立行政法人について、その運営の基本、監督、職員の身分その他の制度の基本となる共通の事項を定める法令を整備するものとする。
 2 それぞれの独立行政法人の目的及び業務の範囲は、当該独立行政法人を設立する法令において明確に定めるものとする。
 3 それぞれの独立行政法人を所管する大臣(次条において「所管大臣」という。)が独立行政法人に対し監督その他の関与を行うことができる事項は、法令において定めるものに限るものとする。
 (運営の基本)
第38条 独立行政法人の運営に係る制度の基本は、次に掲げるものとする。
 1 所管大臣は、3年以上5年以下の期間を定め、当該期間において当該独立行政法人が達成すべき業務運営の効率化、国民に対して提供するサービス等の質の向上、財務内容の改善その他の業務運営に関する目標(次号において「中期目標」という。)を設定するものとすること。
 2 独立行政法人は、中期目標を達成するための計画(以下「中期計画」という。)及び中期計画の期間中の各事業年度の業務運営に関する計画(第七号において「年度計画」という。)を策定し、実施するものとすること。
 3 独立行政法人の会計は、原則として企業会計原則によるものとするとともに、各事業年度において生じた損益計算上の利益は、これを積み立て、法令の定めるところにより、中期計画に定められた使途の範囲内において使用することができるものとする等弾力的かつ効率的な財務運営を行うことがで  きる仕組みとすること。
 4 国は、独立行政法人に対し、運営費の交付その他の所要の財源措置を行うものとすること。
 5 独立行政法人の業務については、その実績に関する評価の結果に基づき、業務運営の改善等所要の措置を講ずるものとすること。
 6 独立行政法人の職員の給与その他の処遇について、当該職員の業績及び当該独立行政法人の業務の実績が反映されるものとすること。
 7 独立行政法人は、各事業年度において、業務の概要、財務内容、中期計画及び年度計画、業務の実績及びこれについての評価の結果、人員及び人件費の効率化に関する目標その他その組織及び業務に関する所要の事項を公表するものとすること。
 8 所管大臣は、中期計画の期間の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずるものとすること。
 (評価委員会)
第39条 独立行政法人の業務の実績に関する評価が、専門性及び実践的な知見を踏まえ、客観的かつ中立公正に行われるようにするため、府省に、当該評価の基準の作成及びこれに基づく評価等を行うための委員会を置くとともに、総務省に、府省に置かれる委員会の実施した評価の結果に関する意見の表明、独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃の勧告等を行う委員会を置くものとする。
 (施設等機関等)
第43条 政府は、施設等機関について、国として必要なもの以外のものについては、民間若しくは地方公共団体への移譲又は廃止を推進するほか、その必要性が認められるものについても、府省の編成に併せてその統合を推進するとともに、各施設等機関の性格に応じて独立行政法人への移行を検討するものとする。
    (中略)
 4 政府は、国の試験研究機関について、府省の編成に対応して、次に掲げるところにより、その見直しを行うものとする。
  一 その業務を国として本来担うべき機能にふさわしいものとし、その規模を適切なものとするとともに、その組織及び人員の効率化及び重点化を推進すること。
  二 類似の研究を行っている機関、必要以上に細分化されている小規模な機関、地域別又は業種別の機関等その機能の見直しが求められる機関については、原則として廃止又は統合を行いつつ、国として総合的に取り組む必要のある重要な研究分野及び広範な行政目的に関係する横断的な研究分野を担う中核的な機関を育成すること。
  三 その活動の自律性、柔軟性及び競争性を高めることを基本とし、その管理運営の仕組みの改善及び評価体制の確立を図るとともに、政策研究等の国が直接に実施する必要のある業務を行う機関以外の機関は、原則として独立行政法人に移行すべく具体的な検討を行うこと。
 (中央省庁等改革推進本部の設置)
第52条 中央省庁等改革による新たな体制への移行の推進に必要な中核的事務を集中的かつ一体的に処理するため、内閣に、中央省庁等改革推進本部(以下「本部」という。)を置く。
 (所掌事務)
第53条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
 1 中央省庁等改革による新たな体制への移行の推進に関する総合調整に関すること。
 2 内閣機能の強化、国の行政機関の再編成及び独立行政法人の制度の創設に関し必要な法律案及び政令案の立案に関すること。
 3 国の行政組織等の減量、効率化等を推進するため必要な基本的な計画の策定に関すること。

 「中央省庁等改革基本法」は第43条の中で、国の試験研究機関について“@その業務は国が本来担うべき機能にふさわしいものとすること、Aその規模を適切なものとするとともに、その組織及び人員の効率化及び重点化を推進すること、B類似の研究を行っている機関、必要以上に細分化されている小規模な機関、地域別又は業種別の機関等については、原則として廃止又は統合を行う、C国として総合的に取り組む必要のある重要な研究分野及び広範な行政目的に関係する横断的な研究分野を担う中核的な機関を育成すること”等を求めている。

(2)科学技術行政改革の動き
 平成7年11月15日に“科学技術の振興に関する施策の基本となる事項を定め、科学技術の新興に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、我が国における科学技術の水準の向上を図り、もって我が国の経済社会の発展と国民の福祉の向上に寄与するとともに世界の科学技術の進歩と人類社会の持続的な発展に貢献することを目的”として制定された「科学技術基本法」(法律第130号)にしたがって、平成8年7月2日に、「科学技術基本計画」が閣議決定された。この科学技術基本計画は、停滞気味で閉塞感のある日本経済を科学技術の力で活性化させると共に顕在化している社会問題の解決をはかることを期待して、研究開発推進の基本的方向を、@活力ある豊かな国民生活の実現、A顕在化している地球環境、食料、エネルギー・資源等の地球規模の諸問題の解決、B生活者ニーズ対応、安心して暮らせる憩いある潤いのある社会の構築(健康の増進や疾病の予防・克服、災害の防止)、C物質の根源、宇宙の諸現象、生命現象の解明など、人類が共有し得る知的資産を目指す基礎研究、技術体系の革命的な変貌や全く新しい技術体系の出現をもたらす基礎研究、におき、そのために研究者等の養成・確保と研究開発システムの整備等を行おうとするものであった。
 中央省庁等の改革・組織再編によって、文部省と科学技術庁が統合し文部科学省が設置されること、新しく設置される内閣府に総合科学技術会議が設置されることに連動して、「科学技術基本計画」もまた一層強力に“科学技術創造立国”をめざす方向に改正作業が進められ、平成13年4月、新しい「科学技術基本計画」が決定された。

(3)農政改革の動き
 一方、農林水産行政についても、政府に設置された内閣総理大臣の諮問機関である「食料・農業・農村基本問題調査会」が、平成10年9月に答申を行い、その中で試験研究機関のあり方についても次のように述べている。

第2部 具体的政策の方向
 2 我が国農業の発展可能性の追求
 (6)技術の開発・普及(抜粋)
   技術の開発は食料供給力の強化を図る上で重要であり、また我が国の高い技術水準・試験研究の蓄積は、我が国の農業だけではなく、世界の飢餓・食料問題の解決にも寄与するものである。このため、今後の技術開発については、食料の安定供給、農業の生産力の向上、食料の安全性の確保・品質の向上、持続的な農法への転換、国土・環境保全等食料・農業・農村に対する国民の期待と制作の展開方向に即したものに重点を置くべきである。
   また、生産現場との連携を密にすることにより、技術の積極的な普及・定着を図り、我が国全体としての技術水準の向上を図るべきである。
   国による試験研究は、バイオテクノロジー等の基礎的・先導的な分野や種子等の遺伝資源の保存・活用等国全体の技術力を支える分野を中心に、行政施策の展開方向に即した分野に重点化すべきである。さらに、こうした方向に沿って試験研究体制を再編するとともに、都道府県・大学・民間との連携や国際研究協力の強化を図る必要がある。

 これを受けて農林水産省では、平成10年12月に「農政改革大綱」を策定し、@農政が抱える問題解決のために概ね10年を見通した技術開発の目標を明確化すること、A具体的達成目標を明確にした研究戦略を策定すること、課題の重点化に対応した研究組織の再編整備を打ち出した。

農政改革大綱(平成10年12月) (中略)
Z 技術の開発・普及
 農業生産力の飛躍的向上、農産物の品質・安全性の向上、担い手の確保・育成等のため、技術の開発・普及を重点的に展開していく。このため、技術開発を充実・強化するとともに、効率的かつ効果的な事業運営の観点も踏まえ普及事業の見直しを行う。
 1.技術開発の充実・強化
 (1)国全体の技術開発の目標等の策定と連携の強化
  @国全体の技術開発の目標の明確化
    農政が抱える諸問題に対応した効率的かつ効果的な技術開発を推進するため、国、都道府県、大学、民間等を含めた国全体の技術開発について、概ね10年を見通した目標を明確化する。
  A達成目標を明確化した研究戦略の策定と評価の推進
    技術開発研究の一層の効率化、活性化を図るため、重要分野ごとに農政の課題に対応した具体的達成目標を明確にした研究戦略を策定する。また、研究成果について達成目標に照らした評価と見直しを行う。
  B産学官、普及組織との連携強化による技術開発の活性化・効率化
    国立研究機関における研究成果の実用化・早期移転、提案公募型研究の拡充・強化を図るほか、研究体制の再編整備に当たって、産学官の共同研究を推進する仕組みを整備する。
 (2)新たな農政の展開方向に即した技術開発の重点化
    技術開発については、食料の安定供給の確保のための農業生産力の向上、農業の自然循環機能の発揮等新たな農政の展開方向に即して課題を重点化する。また、それに対応し、研究体制を再編整備する。

 こうした農政改革の方向に沿う方向で、農林水産技術会議は平成11年11月に、「農林水産研究基本目標」を策定し、その中で、“農林水産業の生産性の飛躍的向上と新たな展開を可能とする新産業の創出のための生命科学の深化・加速”を大きく打ち出した。

第U章 農林水産研究の重点化方向
 2 農林水産技術の革新と創出を担う生命と環境の研究
 (1)農林水産業の生産性の飛躍的向上と新たな展開を可能とする新産業の創出のための生命科学研究の深化・加速
  生命科学の知見を基礎とするバイオテクノロジーは、21世紀の経済社会に大きな変化と進歩をもたらすものと期待されている。農林水産業分野においても、既に、遺伝子組換え技術や家畜クローン技術等の発達による技術革新が急速に進んでおり、今後、高品質・高収量の作物の開発や環境保全型農業技術の開発等への貢献が期待される。また、生命科学研究は、その研究成果が新たな高付加価値産業の創出に直結する可能性が大きく、先駆的な新産業を生み出しうる科学技術分野として、最も重視されている分野の一つである。生命科学の研究開発がもたらす経済的価値については国際的にも広く認知され、遺伝子特許等知的財産権を産み出す分野を中心に国際的な研究開発競争が激化している。
  生物の持つ大きな特徴の一つである種や機能の多様性は、人類の生存や生活にとって貴重な資源であり、その解明や利用は、21世紀に向けて解決しなければならない食料問題や環境問題等において解決の鍵を握るものとして期待が寄せられている。 
  このため、農林水産業の生産性の飛躍的発展のための動植物の生命現象の分子生物学的解明、新たな産業創出のための生物機能の解明と活用技術の開発並びにこれらの生命科学研究を支える遺伝資源の収集・評価・保存、実験動植物開発等の基盤研究を推進する。
1)生産性の飛躍的向上のための動植物の生命現象の解明
  ゲノム研究は画期的な作物・家畜や新たな生物資源の開発の基盤として重要である。そのため、高密度遺伝地図・物理地図の充実とともに、イネについては全塩基配列の解読を行う。これらのゲノム情報をもとに、イネ、ブタ、カイコ等において有用遺伝子の機能解明・単離を積極的に推進し、その成果を活用して特許化に努める。また、タンパク質の構造生物学的解明を行い機能改変の高度化を図る。
  光合成、物質代謝、共生窒素固定、発生分化、生殖、脳・神経、内分泌等基本的な生命現象、動植物の病害虫及び環境ストレスに対する耐性機構、共生を含めた生物間相互作用等に関し、分子、細胞・組織、個体レベルでの解明を行い、農林水産技術の革新に繋がる基礎的知見の蓄積を図る。
2)新たな産業創出のための生物機能の解明と活用
  農林水産生物の多様な機能を改変・模倣することによって、農林水産業に止まらず更に広範な産業利用が期待される。
  遺伝子の導入や効率的発現技術等の基盤技術の開発とそのための基礎研究を推進することにより、生理活性物質等の有用物質を生産する遺伝子組換え生物の開発及び有用物質の効率的な大量生産システムの構築を行う。その際、動植物の特異的な機能に着目し、有用遺伝子の探索・単離を進め、その活用を図る。
  動植物が生産する多様な物質及び生体構成物質を新素材資源として利用するため、物質の特性を解明するとともに、化学修飾、機能改変による物質変換・加工技術の開発を行う。
  生体機能模倣によるバイオセンサー、バイオマイクロマシン等の開発に資するため感覚器の刺激・受容・情報変換機能や運動機能等の解明を行う。
  疾病の解明や治療薬等の開発あるいは異種間臓器移植に利用可能な実験動物と疾患モデルの開発及び生体防御機構に関わる基礎研究を行う。
  微生物、植物等の環境浄化機能の評価・機構解明を進め、生物機能を活用した環境保全・修復技術の開発を目指す。
3)生命科学研究を支える基盤研究
  遺伝資源はバイオテクノロジーを利用した画期的品種育成や新作物開発等の遺伝子資源として今後ますます重要となる。これらの収集・評価については生物の多様性に関する条約に配慮しつつ実施する。
 保存・増殖については、生息域内保存、細胞・組織の超低温保存等の技術開発を加速する。
  遺伝子の機能解明に不可欠な外来遺伝子の導入、遺伝子ノックアウト系統及び放射線等による突然変 異体の作出・保存を効率的に行う。
  ゲノム研究から生みだされる膨大な情報をゲノム機能の解明、遺伝子単離に効率的に結び付けるために、遺伝子機能予測プログラムの開発、関連する代謝・形態等のデータベースとの統合、コンピュータ上での生物機能解析等のバイオインフォマティクス研究を推進する。
  遺伝子組換え技術については、国民の期待も大きい反面、安全性等について不安感も持たれている。組換え体の開放利用における環境への影響評価のための研究や食品としての安全性確保に必要な知見等の蓄積を行う。
  なお、これらの研究成果を的確に農林水産業及び関連産業に結びつけていくため、多様な資金や研究資源を導入する仕組みを活用して官民共同研究を積極的に実施するなど技術移転機能を強化する必要がある。

 以上のような、行政改革、科学技術行政改革、農政改革といった。3つの大きな変化の必然の結果として、独立行政法人農業生物資源研究所が設立された。

2.独立行政法人農業生物資源研究所の設立
 これまでみてきたように、明治17年に蚕の微粒子病の撲滅法の開発と講習・普及を目的として麹町区内山下町に産声をあげた蚕病試験場は、その後蚕業試験場(明治20)、仮試験場蚕事部(明治24)、蚕業試験場(明治26)、蚕業講習所(明治29)、原蚕種製造所(明治44)、蚕業試験場(大正3)、蚕糸試験場(昭和12)とその名称を変更してきたが、一貫してわが国の蚕糸業に貢献する専門場所として“蚕糸に関する試験、分析、鑑定、調査、講習並びに原蚕種、桑の接穂及び苗木の生産及び配布を行う機関”として活動を続けてきた。しかし、昭和63年に至り、蚕糸業をめぐる諸情勢の変化に対応して、蚕糸試験場は、“蚕糸に関する研究の経験と蓄積を活用することによって、昆虫を中心とする無脊椎動物及び関連微生物の様々な機能を解明し、これを利用した新しい技術及び新しい昆虫利用産業を創出するとともに、蚕糸業の安定的な発展のための革新的な技術の開発を行うための機関”として、その体制を変更することとななった。すなわち、蚕糸業に貢献する“業種別”研究機関から、カイコをはじめとする昆虫等の機能解明・利用技術の開発を主とする蚕糸・昆虫農業技術研究所へと大きく方向を転換させたことになる。
 一方、西ヶ原に設置された仮試験場農事部(明治24)は、その後農事試験場(明治26)となり、農業関係の試験研究機関として活動を続けてきたが、昭和25年占領軍命令により、農業技術研究所と地域農業試験場に再編されることとなった。その後昭和58年に、この農業技術研究所と植物ウイルス研究所(昭和39年設立)を廃止し、さらに蚕糸試験場を大幅に縮小改組し、これらを原資として“生物資源及び農業環境に関する先行的・基盤的技術開発を一層効率的かつ強力に推進する”ことを目的とした農業生物資源研究所及び農業環境技術研究所が設立された。新しく設立された農業生物資源研究所においては、分子生物学等最新の科学技術を活用した先行的・基盤的技術開発研究を行うこととなった。
 中央省庁等改革基本法では、“類似の研究を行っている機関、必要以上に細分化されている小規模な機関、地域別又は業種別の機関等その機能の見直しが求められる機関については、原則として廃止又は統合を行いつつ、国として総合的に取り組む必要のある重要な研究分野及び広範な行政目的に関係する横断的な研究分野を担う中核的な機関を育成すること”と規定されていることから、業種別試験場から専門研究所に転換していた旧蚕昆研は昆虫機能解明研究、旧生物研は植物バイテク研究と、どちらも国が行おうとしている生命科学関係の研究を行っている、ということから、これら2つを統合することとなった。ここに畜産試験場でクローンや動物ゲノム研究を行っていた研究者、家畜衛生試験場で免疫研究を行っていた研究者が合流して、昆虫、動物、植物、微生物の生命科学研究を行う一大総合研究所=独立行政法人農業生物資源研究所として発足することになった。

3.独立行政法人農業生物資源研究所における研究
 以上の経過から、独立行政法人農業生物資源研究所における研究体制は次の図のようになった。 独法生物研は、基盤研究部門、昆虫・動物生命科学研究部門、植物生命科学研究部門の3部門に分かれており、かつての蚕昆研の研究者のほとんどは、昆虫ゲノム研究チームがゲノム研究グループに属しているのを除けば、昆虫・動物生命科学研究部門に所属することとなった。

    理事長 ───────┬─ 企画調整部
     ├─ 理事 2名  ├─ 総務部
     └─ 監事 2名  │ 《基盤研究部門》
               ├─ 基盤研究推進官
               ├─ ゲノム研究グループ
               ├─ 遺伝資源研究グループ
               ├─ ジーンバンク
               │ 《昆虫・動物生命科学研究部門》
               ├─ 発生分化研究グループ
               ├─ 生体防御研究グループ
               ├─ 生体機能研究グループ
               ├─ 昆虫適応遺伝研究グループ
               ├─ 昆虫新素材開発研究グループ
               ├─ 昆虫生産工学研究グループ
               │ 《植物生命科学研究部門》
               ├─ 分子遺伝研究グループ
               ├─ 生体高分子研究グループ
               ├─ 生理機能研究グループ
               ├─ 新生物資源創出研究グループ
               └─ 放射線育種場

 独立行政法人通則法によれば、独立行政法人が行う研究および関連する業務は、該当府省の大臣から5年間の間に行うべき中期目標として示され、研究所はそれに対応して、5年間に行う中期計画を作成し、府省に設置された評価委員会の承認を求め、その毎年度の達成度を評価されることとなっている。
 農林水産大臣が示した独法生物研の中期目標においては、先に述べた「食料・農業・農村基本法」や「農林水産研究基本目標」に掲げられた研究開発を行うために、@ゲノム生物学等を利用した生命科学研究、A農林水産業の飛躍的発展を目指した革新技術の開発、B新産業の創出を目指した研究、Cバイオテクノロジーを支える基盤技術の開発、D生物遺伝資源の収集、評価、保存・増殖、配布、情報管理の5つの課題を重点研究領域として設定している。
 中期計画においては、これら5つの重点研究領域ごとに、大課題−中課題−小課題を設定し、その下で数々の研究を実施することとなっている。
 中期計画の重点研究領域の中に記載されている昆虫関係の課題の主なものとしては、次のようなものがある。
  @ゲノム生物学等を利用した生命科学研究
   ・カイコの高密度遺伝地図、物理地図の作成
   ・カイコDNV抵抗性遺伝子等の単離
   ・ヒメミミズ等の発生分化及びカイコの生殖系列形成体等に関わる主要遺伝子の単離と遺伝子機能解析系の構築
   ・カイコの脱皮・変態時にホルモン活性物質により発現が誘導される主要遺伝子・タンパク質の単離とその機能解明
   ・カイコにおける真皮細胞の増殖調節機構の解明並びに斑紋等の組織形成に関わるタンパク質の同定
   ・間性系統等に着目した遺伝形質の連関解析
   ・フィブロイン遺伝子、カルボキシエステラーゼ遺伝子等に着目した昆虫生理機能関連遺伝子の単離と分子進化学的解析
   ・尿酸合成やエクジステロイド受容機構等に関わる分子の単離と発現制御機構の解明
   ・昆虫の触角葉及びキノコ体における匂い情報の伝達・処理機構の解明
   ・カイコ等の味覚応答の解明と感覚子特異的分子等に着目した味覚受容伝達系の解明
   ・ペプチド等化学物質の生理的役割に着目したバッタ等の体色制御機構および甲虫等の休眠・繁殖・耐寒性等の解明
   ・カイコ等のアミノ酸合成酵素系等に着目した特異的代謝機能の解明
   ・効率的な超微量分析法の開発に着目したアリ類や捕食性カメムシ等の行動解発因の解明
   ・植食昆虫に対する有害植物成分等の検定系の確立と検索
   ・トビイロウンカ共生微生物等の系統解析及び共生関連遺伝子の解析
   ・昆虫腸内細菌に着目した昆虫・植物循環細菌等の感染・定着・増殖の分子機構の解明
   ・昆虫ポックスウイルスのスピンドル等の機能と感染要因の解明
   ・植物病原微生物に由来する生理活性物質に着目した、植物−病原微生物−昆虫の相互作用の解明
   ・カイコの抗菌性タンパク質等の構造決定と改変及び機能、発現機構の解明
  A農林水産業の飛躍的発展を目指した革新技術の開発
   ・カイコ耐病性関連DNAマーカーの開発
  B新産業の創出を目指した研究
   ・遺伝子導入カイコの周年・安定生産システムの構築
   ・効率的周年人工飼料育のための桑系統の素材化
   ・化学分子受容体の固定法等に着目したバイオセンサー等の開発
   ・微小電極等の利用による飛翔行動等の生体機能計測手法の開発
   ・ヒメハナカメムシ、カブリダニ等の系統解析法の確立
   ・セリシン蚕等の特異な繭糸質を有する蚕品種の育成及び飼育技術の開発
   ・キチン、フィブロイン等を用いた精密化学製品等機能性素材の開発
   ・絹フィブロイン等生体高分子の理化学的特性の解明と創傷被覆材等への利用技術の開発
   ・昆虫由来色素等の抽出・機能評価及び新衣料素材の作出
   ・シルクの機能性利用と加工技術による生活用素材の開発
  Cバイオテクノロジーを支える基盤技術の開発
   ・トランスポゾンの改良等に着目した有用物質発現系構築のための組換え昆虫及び組換えウイルス作出技術の開発
   ・昆虫培養細胞系簡易作出技術の開発と培養細胞系による昆虫免疫反応解析系の確立

4.独法生物研における蚕糸研究
 旧蚕昆研では、独法移行を契機に、独法生物研で行う研究の主要な課題のいくつかについて、その推進方向を明らかにした「昆虫機能研究戦略」の一つとして、“豊かなヒューマンライフのための新蚕糸技術研究”を策定した。その中では、それまでに蚕昆研において培ってきた研究の蓄積、開発してきた技術の数々、維持管理すると共に新たに育成してきたカイコや桑の遺伝資源を有効に活用して、豊かで潤いのある社会生活に貢献できる、シルクをベースに据えた多様な生活資源を開発すると共に、そのための特徴ある蚕品種の育成と飼育技術の開発を目的としている。
 科学技術庁資源調査会報告では、“一般に暮らしになくてはならないもの、あるいは暮らしを支えている代表的要素を、生活資源と呼ぶ”としているが、ここでいう“暮らし”というのは、“安全・安心で質の高い生活”(第2期「科学技術基本計画」)、“ゆとり、快適性、安全性など、従来の効率性や経済性の追求とは異なる視点から、潤いのある社会生活”(食料・農業・農村基本問題調査会報告)と、考えることができる。平成14年に内閣総理大臣が開催した、BT戦略会議の報告において、“よりよく生きる、よりよく食べる、よりよく暮らす”という3つの目標が示されたり(「バイオテクノロジー戦略大綱」、平成14年12月)、2003年7月にお茶の水女子大学の中に、“安全で安心な生活世界の構築を実現するために、生活者の視点からの科学的基盤を確立する”ライフワールド・ウオッチセンターが設立されたが、このような流れの表れということができる。
 独法生物研において現在進められている新蚕糸技術研究の方向は、こうした世の中の流れが求めているものに応えたものといえる。今後も、こうしたシルクをベースにした多様な生活資源の開発と新素材としての利用技術の開発をめざした“シルク・テクノロジー”研究を、産官学連携の中でさらに発展させていくことが重要である。
 一方、独立行政法人通則法では、中期目標の期間の終了時の検討について第35条で「主務大臣は、独立行政法人の中期目標の期間の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずるものとする」と規定している。平成15年8月1日には、「中期目標終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについて」“主務大臣は、「民間にできることは民間に委ねる」との観点から、独立行政法人の組織・業務全般について極力整理縮小する方向で見直し”することが閣議決定された。

中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しについて
                                                      平成15年8月1日 閣議決定
 独立行政法人制度は、主務大臣が示した中期目標に基づき、当該法人がその達成のための中期計画を定めて自律的・自主的に業務を遂行すること、独立行政法人評価委員会が業務実績等を厳格に事後評価すること、並びにこうした評価等に基づき事務及び事業の不断の見直しを行うことを通じて、適正かつ効率的な運営を確保する仕組みである。
 独立行政法人制度を有効に機能させるため、主務大臣は、その所掌範囲全体における骨格的な政策目標を明確にし、その中で独立行政法人が担う役割の位置付けを明らかにするとともに、各独立行政法人の「存在意義」を国民に対し説明しなければならない。
 特に、特殊法人及び認可法人において組織・業務の自己増殖、不要不急な業務の拡張といった問題点が指摘されてきたことを踏まえ、独立行政法人においては、中期目標期間終了の都度、組織及び業務全般の見直しを行うことが制度の中核と位置付けられている。この仕組みにより、各主務大臣及び独立行政法人は、経済社会情勢等を勘案し行政主体が担う必要性が乏しくなった事務及び事業の廃止あるいは民営化を行い、また、時宜に応じた業務運営に改めるなど、組織及び業務の在り方全般について機動的・弾力的な対応を行うことが求められている。
 主務大臣は、以下に定めるところにより、「民間にできることは民間に委ねる」との観点から、独立行政法人の組織・業務全般について極力整理縮小する方向で見直すこととする。
1.審議会の勧告と見直し内容の予算への反映
  独立行政法人の中期目標期間終了時の主要な事務及び事業の改廃に関し、独立行政法人通則法(以下「通則法」という。)第32条第3項に規定する政令で定める審議会(総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会。以下「審議会」という。)は、主務大臣に勧告ができることとされている。他方、次の中期目標期間の開始時から法人が見直し結果を反映して業務を実施し、又は廃止の場合の円滑な経過措置を実施していくためには、当該開始年度に係る国の予算に見直し内容を反映させる必要がある。
  したがって、審議会は、あらかじめ勧告を行うに当たっての視点を示すため、独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の取組の方針(以下「勧告方針」という。)を作成するものとする。その際、別紙「中期目標期間終了時における組織・業務全般の見直しに係る基準」(以下「基準」という。) 1(独立行政法人の業務全般にわたる見直しの視点)に掲げる視点のそれぞれについて、具体的な検討に資するチェック事項を示さなければならない。また、審議会は、今後の独立行政法人制度の運用状況 等を踏まえ、必要に応じ基準1に掲げる視点以外にも必要な視点及び当該視点の具体的な検討に資するチェック事項を検討し、示すことにより、勧告方針を適宜改定するものとする。
2.概算要求及び概算決定に向けた取組
  主務大臣は、1.の勧告方針に即して審議会が勧告又は勧告の方向性等の指摘を行うこととなることを踏まえ、基準2(事務及び事業の改廃に係る具体的措置)及び3(組織形態の見直しに係る具体的措置)に掲げる具体的措置を盛り込んだ独立行政法人の組織・業務全般の見直しについての当初案を作成し、その実現に向けて当該独立行政法人に係る国の予算の要求を行うこととする。
  また、審議会は、見直し内容が中期目標期間の開始年度に係る予算に反映できるよう早期に、具体的には当該独立行政法人に係る国の予算の編成作業に間に合うタイミングで、主要な事務及び事業の改廃に関して勧告の方向性等の指摘を行うものとする。
  主務大臣は、予算編成の過程において、審議会による勧告の方向性等の指摘の趣旨が最大限いかされるように見直し内容を検討し、概算要求を行った見直し案に対して所要の修正を加えた上、予算概算決定の時までに、行政改革推進本部に説明し、その議を経た上で決定するものとする。その際、行政改革推進本部は審議会の意見を聴かなければならない。
3.概算決定後、次の中期目標期間開始までの取組
  2.において決定した見直し内容を踏まえ、主務大臣及び独立行政法人は中期目標・中期計画等を策定するほか、独立行政法人の個別法の改正・廃止が必要な場合、主務大臣は国会に所要の法律案を提出 することとする。
  見直し内容の具体化に当たっては、通則法第59条により読み替えられる国家公務員法第78条の規定等の趣旨を踏まえつつ、職員の雇用の安定、労働条件等に配慮し、円滑な実施を図る。
4.中期目標期間終了時における勧告及び主務大臣の見直し
  審議会は、1.から3.までの過程で検討決定した内容を踏まえて、中期目標期間終了後遅滞なく通則法第35条第3項に基づく勧告を行うこととし、主務大臣は、当該決定内容及び勧告を踏まえて見直し内容を正式に決定するものとする。

《別紙》
中期目標期間終了時における組織・業務全般の見直しに係る基準
1 独立行政法人の業務全般にわたる見直しの視点
 (1)事務及び事業の在り方に関する視点
   @国が関与する事務及び事業としての必要性・有効性等
    ア)政策目的の達成状況
    イ)社会経済情勢の変化の状況
    ウ)国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地との関係
    エ)利用者、顧客、受益者等の二ーズ、実態上の範囲の状況
   A事務及び事業を制度的独占により行う必要性
 (2)事務及び事業を現在担っている実施主体の適切性に関する視点
    ア)現行の実施主体の設立目的、ほかの事務及び事業との関係
    イ)現行の実施主体の財務状況
    ウ)関連する事務及び事業の実施主体との分担関係
    エ)現行の実施主体の組織形態、人事との関係
 (3)事務及び事業の効率化、質の向上等の状況に関する視点
    ア)効率化、質の向上等の達成状況
    イ)効率化、質の向上等に係る指標の動向
    ウ)勘定区分の機能状況
    エ)受益者負担の在り方
 (4)事務及び事業の見直しの経緯の検証に関する視点
2 事務及び事業の改廃に係る具体的措置
 ・事務及び事業の廃止
 ・民間又は地方公共団体への移管
 ・事務及び事業に関する制度的独占の廃止
 ・自主財源による事務及び事業や受託による事務及び事業への移行、事務及び事業に係る補助金等依存度の更なる縮減
 ・事務及び事業の他の独立行政法人又は国への移管
 ・事務及び事業の一部又は全部の民間委託、民間委託の範囲の拡大
 ・事務及び事業の戦略化・重点化又は整理縮小
 ・事務及び事業の運営の合理化・適正化
 ・市場テスト(事務及び事業について民間その他の組織からの入札を募集し、独立行政法人が実施するよりも当該組織が実施した方がコストと品質の面で優れていれば当該組織に委託することとすること。)その他事務及び事業についての改善措置の試行的実施等
3 独立行政法人の組織形態に関する見直しに係る具体的措置
 (1)業務の大部分又は主たる業務が廃止され、又は民間その他の運営主体に移管された独立行政法人について、当該法人を廃止した場合にどのような問題が生じるのかを具体的かつ明確に説明できない場合には、当該法人を廃止する。
   法人を廃止しない場合であっても、業務の大部分又は主たる業務の廃止又は他の運営主体への移管に伴い、当該法人の組織を大幅にスリム化する。
 (2)業務の採算性が高く、かつ国の関与の必要性が乏しい法人、企業的経営による方が業務をより効率的に継続実施できる法人又は民間でも同種の業務の実施が可能な独立行政法人について、当該法人を民営化した場合にどのような具体的問題が生じるのかを具体的かつ明確に説明できない場合には、当該法人を民営化する。
   法人を民営化しない場合であっても、業務の大部分について民営化することに伴い、当該法人の組織を大幅にスリム化する。
 (3)特定独立行政法人について、その業務を国家公務員の身分を有しない者が担う場合にどのような問題が生じるのかを具体的かつ明確に説明できない場合、当該法人を特定独立行政法人以外の独立行政法人とする。

 これらのことから、今後は中期目標の期間ごとに、研究所の業務、研究の推進方向が変化することが予想される。ただ、これまでの蚕糸試験研究の歴史をみると、概ね3〜8年くらいの期間で、研究内容、組織体制の改正を行ってきており、これからも、国民のニーズに応えた研究を行っていくと同時に、新しいニーズの開拓を行っていくことも重要であるといえる。そのことによって今後、新たな蚕糸試験研究の歴史が記録されていくことが期待される。(完)


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