10.蚕の斑紋による雌雄鑑別法(1941)

田島彌太郎(1941) 蠶兒の斑紋利用による簡易なる雌雄鑑別法.日本蠶絲學雜誌 12(3):184-188

1.蚕にX線を照射して得られた新形質であるセーブル斑紋(田島、1938)を用いて蚕の雌雄を 鑑別する方法である。この斑紋は、暗色蚕と形蚕の中間の斑紋で、セーブル斑紋を有する系統では、セーブル斑紋を発現する原因をなすPsa因子を含んだ染色体が雌性を決定する因子であるW染色体に転座している。
  
※田島彌太郎(1938)X線に因って生じた家蠶の新形質セーブル斑紋蠶.遺傳學雜誌 14:117-128

2.したがって、この斑紋を有する個体は必ず雌であり、雄は姫蚕(あるいは形蚕)であるので、この斑紋の有無によって幼虫を選別すれば、雌雄の鑑別が行える。

3.セーブル斑紋雌に姫蚕(形蚕)を交雑するとFの雌は全てセーブル斑紋蚕、雄は全て姫蚕(形蚕)である。この雌に、同区の雄、あるいは他系統、他品種の姫蚕(形蚕)雄を交雑しても、次代の雌は全てセーブル斑紋蚕、雄は全て姫蚕(形蚕)である。この関係は何代後においても同様であるので、この斑紋を利用して雌雄鑑別ができる。

4.従来から広く行われている、石渡式生殖腺法と比較すると、鑑別作業の速さは約4倍となり、誤識別率は42分の1に減る。

5.4齢直後から熟蚕までの間であれば、どの時期であっても、この方法によって雌雄鑑別を行うことができる。


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