15.夏秋蚕用蚕品種「日124×124号」(1955)

蚕糸局技術改良課(1956)蚕の新品種−「日124×124号」.技術資料 第39号:1-7

1.日124
  化性:二化性。系統:日々固定種。来歴:本品種は農林省蚕糸試験場(中里 延)において育成したもので、支122号(太)と交雑して春蚕用に供すると共に、支124号と交雑して夏秋蚕用に供する。
  本種は二化性白繭系日々固定種である。蟻蚕は暗褐色を呈し、蚕児の休色は青白色で、斑紋は形である。蚕児の経過は短い方で、日122号より稚蚕期で半日、壮蚕期で数時間短い。各令共餉食当初から食桑はかなり活溌であるから、厚飼を避けて成熟した良桑を飽食させるようにする。なお壮蚕期の催眠から就眠までが割合に長引く傾向があるが、この催眠期に桑不足させたり冷湿におちいらせたりしないように注意する。
  繭は白色、浅縊俵形で、縮皺は普通である。越年卵の卵色は藤鼠である。
  本腫と支124号とを組合わせる場合、両品種の取扱いが略々等しい時は、本腫の催青着手を春蚕期には3〜4日、夏秋蚕期には2〜3日早くすればよい。
  蚕種の人工孵化法は即浸、冷浸共に塩酸浸漬時間は4分内外が適当である。

2.支124
  化性:二化性。系統:支々固定種。来歴:本品種は農林省蚕糸試験場(中里 延)において育成したもので、日124号と交雑して夏秋蚕用に供する。
  本種は二化性白繭系支々固定種である。蟻蚕は黒褐色を呈し、蚕児の体色は青白色で、斑紋は姫である。蚕児の経過は、支115号より第1齢が約半日短いが、第5齢が長いので、全齢においては約半日以上長い。虫質は強く、蚕児の挙動は活溌で、蚕寄りをする傾向があり、食桑は餉食当時から旺盛であるから絶えず拡座を励行して桑不足に陥らせないように注意する。
  繭は白色、楕円形で、縮皺は普通である。越年卵の卵色は淡藤鼠と桜鼠である。
  本種と日124号とを組合わせる場合、両品種の取扱いが略々等しい時は、本種の催青着手を春蚕期には3〜4日、夏秋蚕期には2〜3日遅くすればよい。
  蚕種の人工孵化法は即浸、冷浸共に塩酸浸漬時間は4分内外が適当である。

3.日124×124
  化性:二化性。系統:日支交雑種。本種は日支二化性白繭種で夏秋蚕用に供する。蚕児の体色は青白色で、斑紋は形である。蚕児の経過は稚蚕期、壮蚕期共に日122×115号より短く全齢においては約半日以上短い。従ってこの迅速な発育と旺盛な食慾に対応して良い桑を充分に与え、蚕寄りする性質があるから絶えず拡座をするようにするならば、虫は強い方であり、眠起も揃って飼い易い。
  繭は白色の豊大な浅縊長楕円形で、縮皺は普通である。
  本種は虫質強く、飼育日数短く、細繊度用品種としては収繭量多く、繭糸長長く、繭糸量多く、解舒良く小ぶしも少ない。繭糸繊度は約2.6デニールである。


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