17.夏秋蚕用蚕品種「日122号・日124号×115号・支124号」(略称2454)(1957)

蚕糸局技術改良課(1957)蚕の新品種.技術資料 第41号:7-10

1.日122号
  化性:二化性。系統:日欧固定種。来歴:本品種は農林省蚕糸試験場において育成したもので、支122号との一代交雑種、日122号(細)との交雑原種に支122号(細)を交雑した三元交雑種、秀峰との交雑原種に刀水を交雑した三元交雑種、日122号(太)との交雑原種に支122号(太)を交雑した三元交差種、改との交雑原種に支122号と良との交雑原種を掛けた四元交雑種として春蚕用に供すると共に、支115号との一代交雑種、または日124号との交雑原種に支115号と支124号との交雑原種を掛けた四元交雑種として夏秋蚕用に供する。
  本種は二化性白繭系日欧固定種である。蟻蚕は暗褐色を呈し、蚕児の体色は淡赤系で、斑紋は形である。蚕児の経過日数は比較的長いが大平に比べて大差がない。食慾は餉食後徐々に昂進するから、餉食当時の食桑量は割合に少なく、盛食期においても比較的緩慢であって、食桑量は少ない方である。低温多湿及び高温多湿に対しては稍弱い傾向があるから温湿度の調節に努めると共に食桑状態が緩慢であるので少量多回育を行うのが安全である。
  繭は純白色、尖り気味のある俵形で、縮皺は密である。越年卵の卵色は藤鼠である。

  本種と日124号とを組合わせる場合、両品種の取扱いが略々等しい時は、本種の催青着手を約1日早くすればよい。
  蚕種の人工孵化法は即浸、冷浸共に塩酸浸漬時間は4〜5分が適当である。

2.日124号
  化性:二化性。系統:日々固定種。来歴:本品種は農林省蚕糸試験場において育成したもので、支122号(太)と交雑して春蚕用に供すると共に支124号と交雑して夏秋蚕用に用い、また日122号との交雑原種に支115号と支124号との交雑原種を掛けた四元交雑種として夏秋蚕用に供する。
  本種は二化性白繭系日々固定種である。蟻蚕は暗褐色を呈し、蚕児の体色は淡赤味のある青白色で、斑紋は形である。蚕児の経過は短い方で、日122号より稚蚕期で半日、壮蚕期で数時間短い。各齢共餉食当初から食桑はかなり活発であるから、厚飼を避けて成熟した良桑を飽食させるようにする。なお壮蚕期の催眠から就眠まで割合に長引く傾向があるが、この催眠期に桑不足させたり冷湿におちいらせたりしないように注意する。
  繭は白色、浅縊俵形で、縮皺は普通である。越年卵の卵色は藤鼠である。
  本種と日122号とを組合わせる場合、両品種の取扱いが略々等しいときは、本種の催青着手を約1日遅くすればよい。
  蚕種の人工孵化法は即浸、冷浸共に塩酸浸漬時間は4分内外が適当である。

3.日122号×日124号
  化性:二化性。系統:日欧交雑原種。
  日122号と日124号との交雑原種にして、支115号と支124号との交雑原種と交雑し四元交雑種 として夏秋蚕用に供する。
  本種は二化性白繭系日欧交雑原種である。蟻蚕は暗褐色を呈し、蚕児の体色は淡赤系で、斑紋は形である。蚕児の経過は日122号より稍短い。挙動活発で虫質強く夏秋蚕期の飼育も容易であり、産卵量も多い。
  繭は白色の浅縊俵形で、縮皺は稍密である。越年卵の卵色は藤鼠である。
  本種と支115×支124号とを組合わせる場合、両交雑原種の取扱いが略々等しい時は、本種の催青着手を春蚕期には5〜6日、夏秋蚕期には4〜5日早くすればよい。
  蚕種の人工孵化法は即浸、冷浸共に塩酸浸漬時間は4分内外が適当である。

4.支115
  化性:二化性。系統:支々固定種。来歴:本品種は農林省蚕糸試験場において育成したもので、日122号と交雑して夏秋蚕用に用いると共に、支124号との交雑原種に曰122号と日124号との交雑原種を掛けた四元交雑種として夏秋蚕用に供する。
  本種は二化性白繭系支々固定種である。蟻蚕は黒褐色を呈し、蚕兒の体色は青白色で、斑紋は姫である。虫質は強い方で、経過が速い。生種を生ずることがあるから、催育中の温度、湿 度、光線および飼有中の温湿度に注意することが必要である。
  繭は白色の楕円形で、縮皺は普通である。越年卵の卵色は濃藤鼠、藤鼠、緑を帯びた藤鼠である。
  本種と支124号とを組合わせる場合、両品種の取扱いが略々等しい時は、本種の催育着手を同時にまたは1曰遅くすればよい。
  蚕種の人工孵化法は即浸、冷浸共に塩酸浸漬時間は3〜4分がよいが、即浸の場合に産卵後 浸酸までの時間が短いと孵化が不良となることがあるから注意を要する。

5.支124
  化性:二化性。系統:支々固定種。来歴:本品種は農林省蚕糸試験場において育成したもので、日124号と交雑して夏秋蚕用に供すると共に、支115号との交雑原種に日122号と日124号との交雑原種を掛けた四元交雑種として夏秋蚕用に供する。
  本種は二化性白繭系支々固定種である。蟻蚕は黒褐色を呈し、蚕児の体色は青白色で、斑紋は姫である。蚕児の経過は、支115号より第1齢が約半日短いが、第5齢が長いので、全齢においては約半日以上長い。虫質は強く、蚕児の挙動は活発で、蚕寄りをする傾向があり、食桑は餉食当時から旺盛であるから、絶えず拡座を励行して桑不足におちいらせないように注意する。繭は白色の楕円形で、縮皺は普通である。越年卵の卵色は淡藤鼠と桜鼠である。
  本種と支115号とを組合わせる場合、両品種の取扱いが略々等しい時は、本種の催青着手を同時にまたは1日早くすればよい。
  蚕種の人工孵化法は即浸、冷浸共に塩酸浸漬時間は4分内外が適当である。

6.支115×124
  化性:二化性。系統:支々交雑原種。
  支115号と支124号との交雑原種にして、日122号と日124号との交雑原種と交雑し四元交雑種として夏秋蚕用に供する。
  本種は二化性白繭系支々交雑原種である。蟻蚕は黒褐色を呈し、蚕児の体色は青白色で、斑紋は姫である。蚕児の経過は支124号より稍短い。挙動活発で食桑旺盛、虫質は強いから夏秋蚕期の飼育も容易であり、産卵量も多い。
  繭は白色の楕円形で、縮皺は普通である。越年卵の卵色は淡藤鼠である。
  本種と日122×124号とを組合わせる場合、両交雑原種の取扱いが略々等しい時は、本種の催青着手を春蚕期には5〜6日、夏秋蚕期には4〜5日遅くすればよい。
  蚕種の人工孵化法は即浸、冷浸共に塩酸浸漬時間は4分内外が適当である。

7.日122号・日124×支115号・支124号(この四元交雑種を2454と略称する)
  化性:二化性。系統:日支欧交雑種。本種は日支欧四元交雑二化性の白繭種で夏秋蚕用に供する。
  蚕児の体色は青系で、斑紋は形である。蚕児の経過は日122×115号より短く、日124×124号より僅かに長く、一般にいえば短い方である。虫質は強いが稚蚕の経過が速く食桑が活発であるから用桑を吟味して栄養不足に陥らせぬように注意する。四元交雑種であるが眠起は斉一で、繭の揃いも悪くない。
  繭は白色の浅縊長楕円形で、縮皺は普通である。
  本種は飼育日数短く、細繊度用組合せとしては収繭量多く、繭質糸質も良い方である。繭糸繊度は約2.6デニールである。


 研究成果の目次に戻る