18.桑の新梢挿し木法(1957)

本多恒雄(1957)桑の新梢挿木法に関する研究.蚕糸研究 第20号:55-60

1.桑樹1株からできるだけ多くの苗木を生産する目的で、新梢挿木法の実用化を図る基礎実験を行い、次の結果を得た。

2.挿木発根のための環境要素として、地温は30℃附近に適温があり、挿床の通気をよくすると発根がよい。また横に倒して浅く挿すとよく発根する。

3.電熱温床内の発根経過をみると、挿木後10日を過ぎてから根があらわれ、その後10日間は成長が盛んであるが、それ以後は緩慢となる。

4.成長物質を処理する場合は極めて低濃度でよく、20020PPMの範囲で充分の効果が得られた。

5.成長物質と栄養物質を併用処理したほうが効果が高まる。

6.新梢の成長程度を異にし、また1新梢内の部位を異にしても挿穂として利用できる。但し、物質の種類によって効果の異なる場合があったから、倍液の調製について今後の研究が必要である。

7.以上の実験によって、環境条件を適当にすることと、成長物質および栄養物質を処理することによって、新梢挿木法の実用的可能性があると思われる。

本多恒雄(1970)桑のさし木に関する研究.蚕糸試験場報告 24(1)133-245

1.著者は1952年以来新しょうさし木について、また1960年以来古条さし木について、桑のさし木に関する研究を行った。

2.研究の主眼を、@さし穂の条件と発根力との関係、A生長調整物質による発根促進、B発根と環境要因との関係、そしてさらにC発根の起原と根の形成に関する組織学的研究等においた。

3.これらの研究の結果として新梢さし木および古条さし木の問題点のいくつかを解明し、そして新梢さし木による新しい桑の繁殖法を確立した。(以下、略)


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