21.人工飼料による蚕の無菌飼育(1961)

伊藤智夫、田中元三(1962)無菌的方法による蚕の飼育.日本蚕糸学雑誌 31(1)7-10

1.用いた人工飼料の組成は、乾燥桑葉粉末20、馬鈴薯澱粉10、グルコース5、蔗糖5、大豆カゼイン25、大豆油2、β-シトステロール0.2Wessonの塩混合物1、アスコルビン酸2、セルロース粉末29.8(それぞれ含有%)にビタミン類4.74mgと蒸留水1.5ml/gを加えたもの。

2.一旦シャーレ内で蒸した飼料を鋭利なナイフで薄片状に切り、予め滅菌した三角フラスコ内に入れる。飼料はフラスコ1個あたり乾物重として18gを入れる。これを直ちにオートクレーブで115℃30分間滅菌した。25℃24時間放置後、この操作を繰り返した。

3.試験には(日112×支110号)×大造の三元交雑種を用いた。孵化2〜3日前の蚕卵を台紙ごと10%昇汞水に10分間浸漬、滅菌水で十分洗った後水分を除き、無菌的に三角フラスコ内の飼料上に置いた(1フラスコ当たり10個の蚕卵)。

4.無菌飼育では、経過がかなり不揃いになる傾向が大きく、稚蚕期の死亡率が高かったが、営繭した個体が得られ、全齢飼育が可能であることが示された。


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