23.蚕の伝染性軟化病ウイルスに関する研究(1964)

鮎沢啓夫、古田要二、倉田啓而、佐藤文子(1964)蚕の伝染性軟化病ウイルスに関する研究.蚕糸試験場報告 19(2)223-240

1.実験の結果から、蚕の伝染性軟化病がウイルス病であることが証明された。その根拠は次のとおりである。
@蚕体において起病性因子の感染力価は増加する。
A無菌飼育蚕において起病性因子の継代が可能である。
B起病性因子を超遠心分離によって単離したが、これを経口的および経皮的に蚕に接種して感染性が示された。また単離した起病性因子は免疫血清によって中和された。

2.単離した起病性因子がウイルス粒子であるとする根拠は、@病蚕のみに見出され感染性をもつ、A免疫血清によって中和される、Bかなり均一の粒子分画がえられる、等であるが、ウイルス粒子の性状についてはさらに精製法を改良し検討する必要がある。

3.伝染性軟化病およびそのウイルスの性状に関する知見は次のとおりである。
@ウイルスの大きさは3032mμである。
Aミリポアフィルターを用いてウイルスの濾過実験を行なったところ、孔径100mμの場合にはよく濾過され、50mμの場合には濾過されるウイルスは1%以下となった。10mμの場合にはウイルスは全く濾過されなかった。
B起病性因子(ウイルス)は透析されない。
C伝染性軟化病の潜伏期間は6〜12日である。
Dウイルスに対する蚕の感受性(経口感染)は齢が進むに従って低くなる。1〜3齢間ではその差が小さいが、4齢蚕になると感受性はかなり低下し、5齢蚕はウイルス感染に対して著しく抵抗性となる。
Eウイルスは熱、ホルマリン、クライト、アンチホルミン、塩酸等によって容易に不活化される。昇汞、クレゾールせっけん、石炭酸、逆性せっけん、蚕消化液等もウイルス不活化作用を有する。


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