26.核多角体病ウイルスに対する蚕の感受性増大の要因(1966)

鮎沢千尋、古田要二(1966)核型多角体病ウイルスに対する蚕の感受性と消化液のウイルス不活化作用について.日本蚕糸学雑誌 35(2)66-70

1.低温処理(5℃、24時間)した蚕児の、核型多角体病(N)ウイルス経口接種に対する感染抵抗性の変化と、そのさいの消化液のNウイルス不活化作用の変化についてつぎの結果を得た。

2.5齢起蚕を低温処理した直後Nウイルスを経口接種した場合のLD50は、無処理接種よりも著しく高く、蟻蚕におけるLD50よりも高い値を示した。4齢起蚕でも同様の結果を示し、4齢2日目の蚕児でも程度は異なるが同様の傾向のあることがうかがわれた。

3.低温処理直後の蚕児消化液はpHが低下し、かつNウイルス不活化作用も低下した。低温処理後絶食させるとpHは復元し不活化作用も無処理に近い値を示した。

4.消化液を採取した5齢起蚕にNウイルスを経口接種するとLD50は対照蚕接種より高い値を示した。

5.以上の結果から、低温処理による発病には消化液のNウイルス不活化作用の低下を原因とする蚕児の感受性の増大と、その時期の飼育環境の汚染による経口感染が関与している場合もあ ることがうかがわれる。


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