28.限性蚕品種「日131×支131号」(1967)

農林省蚕糸局(1967)蚕の新品種−春蚕用「日131号×131号」.技術資料 第64号:1-2

1.日131号
  化性:二化性。系統:日支固定種。来歴:本種は農林省蚕糸試験場において育成した二化性白繭系日支固定種であって、支131号と交雑して春蚕用に供する。
  蟻蚕は暗褐色を呈し、蚕児の体色は極めてうすい淡赤系で、斑紋は雌はうす汚れた感じの形で、ときに多星紋を混ずることがあり、雄は姫であって、4齢起蚕より熟蚕まで斑紋による雌雄鑑別が容易である。蚕児の経過は日129号に比べて、稚蚕期がやや短目であるが、全齢経過ではほぼ同じであり、日124号に比べて全齢で約1日短い。虫質は強健で眠起斉一であるが、就眠時に蚕座の周囲に這い出すことがある。食桑は普通である。熟蚕の挙動が活発であるから取扱いに注意を要する。夏秋期において硬葉または萎凋桑を給与すると脱肛蚕が発生することがある。繭は白色の浅縊俵形で、ちぢらは普通である。越年卵の卵色は藤鼠である。
  本種と支131号とを組合わせる場合、両品種の取扱いがほぼ等しい時は、本種の催青着手を3日早くすればよい。蚕種の人工孵化については、塩酸浅漬時間は即浸では5分内外、冷浸では5.5分内外が適当である。

2.支131
  化性:二化性。系統:日支固定種。来歴:本種は農林省蚕糸試験場において育成した二化性白繭系日支固定種であって、日131号と交雑して春蚕用に供する。
  蟻蚕は黒褐色を呈し、蚕児の体色は青系で、斑紋は雌はうす汚れた感じの形で、雄は姫であって、4齢起蚕より熟蚕まで斑紋による雌雄鑑別が容易である。蚕児の経過は支129号に比べて椎蚕期が短く、全齢経過でもやや短く、支122号()とほぼ同じである。虫質は強健で、飼育取扱いは容易である。蚕児の挙動は活発で食慾が旺盛であるから桑不足にならぬように良桑を飽食させる。特に熟蚕間近になって体長が縮み出してから熟蚕になるまでの時間がやや長いから注意を要する。雌蛹の冷蔵は不受精卵を多発し易いからなるべく避けた方がよい。
  繭は白色の楕円形で、ちぢらはやや粗である。越年卵の卵色は生壁色である。
  本種と日131号とを組合わせる場合、両品種の取扱いがほぼ等しい時は、本種の催青着手を3日遅くすればよい。
  蚕種の人工孵化は即浸、冷浸ともに塩酸浸漬時間は5分内外が適当である。

3.日131×支131
  化性:二化性。系統:日支交雑種。本種は日支一代交雑二化性の白繭種で春蚕用に供する。
  蚕児の体色は青系で、斑紋は雌はうす汚れた感じの形で、雄は姫である。蚕児の経過は日124号×122号(太)の交雑種に比べ5齢径過はほぼ同じであるが、全齢経過ではやや短い。虫質強健で眠起はよく揃い飼育取扱いは容易であるが、食桑が活発であるから桑不足にならぬように注意する。
  繭は白色の浅縊俵形であるが、楕円形を混ずることがある。ちぢらは普通である。
  本種は虫質強健で、経過日数が短いわりに収繭量多く、解舒、小節も良い方で、繭層練減率が少なく、エクスホリエーション欠点も少ない。繭糸繊度は3デニールやや太めである。


真野保久、長澤鹿津子、山本 巌(1969)限性品種日131号および支131号の育成.蚕糸試験場報告 23(5)441-468

1.日131号、支131号ならびに日131×131号は「確実で能率的に雌雄鑑別ができる実用蚕品種」を目標に育成したものである。このものは幼虫4〜5齢期間に斑紋(雌は形蚕、雄は姫蚕)により簡単に雌雄の見分けがつく佐々木系限性新形蚕を素材として改良を加えたもので、蚕糸業法第3条ならびに第8条の規定によって、昭和42年8月農林大臣より指定された。

2.限性新形蚕系統は昭和32年に佐々木が限性黒色斑系統の中から自然突然変異として発見し、限性黒色斑系統も佐々木が田島の限性暗色斑系統からの自然突然変異として発見したものである。この限性新形蚕系統は染色体転座にともなう生理的欠陥のない限性蚕である。

3.日131号は限性新形蚕系統(日・支F1)に、ZNK姫とMH1(後の日129号)をそれぞれ連続4回ずつ戻し交配したのち、系統選技法により育成した品種であり、飼育日数短く、繭層歩合、生糸歩合の成績がすぐれている。

4.支131号は限性新形蚕系統(日・支F1)に支那種系姫蚕を連続4回戻し交配したのち、系統選技法により育成した品種であり、戻し交配は月光→春白→月光→月光の順に行った。支131号は全繭重、繭層重、繭層歩合、繭糸量、解舒率でまさっている。なお、月光は片倉工業株式会社育成の支那種で、春白は蚕糸科学研究所育成の支那種である。

5.日131×支131号は蚕児の体色は青系で、雌の斑紋はうす汚れた感じの形で、雄は姫であり、飼育日数は日124×122号(太)に比べやや短い。繭は白色の浅縊俵形であるが楕円形を混ずることがあり、ちぢらは普通である。また虫質は強健で収繭量多く、解舒率、小節点も良好であり、繭層練減率が低く、エクスフォリエーション欠点も少ない。繭糸繊度は3デニールやや太目である。

6.日131号、支131号の育成経過からみると、小節の選抜は育成世代の早い時期に行うのが有効であると思われる。

7.日131×131号は戦後指定された品種の中で、最初の日・支両限性品種である。


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