30.桑萎縮病病原(マイコプラズマ様微生物)の発見(1967)

土居養二、寺中理明、与良 清、明日山秀文(1967)日本植物病理学会報 33259-266

1.桑萎縮病の罹病新梢の茎葉を電子顕微鏡観察したところ、既知の植物ウイルス粒子様のものは見出されなかったが、篩管、ときに篩部柔細胞内に、大小(80800μ)多数の球〜不斉楕円形のMycoplasma様あるいはPLT様の粒子が見出された。これらは2層の限界膜(約8mμ)に包まれ、細胞壁はなく、小形(100250μ)の粒子は概ね球形でribosome様顆粒(径約13μ)で充たされ、ときに核質様の繊維状領域を示すものもあり、大形(300μ以上)の粒子は中心が空虚で僅かに核質様の繊維が認められ、顆粒は周辺に偏在する。大小粒子が篩管内に混在する点からみて、小形粒子が生長して大形粒子となるらしく、またときに大形粒子が一部くびれて小形粒子ができるごとき像、小形粒子が大形粒子の内部に数個生じ大形粒子が崩解するような像も認められた。健全植物にはこのような粒子は見出されない。なお、テトラサイクリンで萎縮病から回復したクワ茎葉からはこの粒子は見出されなくなった。

2.その他、ジャガイモてんぐ巣病、Aster yellows感染、てんぐ巣症状の計4種の“叢生萎黄”グループに属する植物病で茎葉節部に共通して見出された同類の粒子は植物寄生では未報告であるが、それらの形状、構造、所在様式などから、Mycoplasmaに近い寄生微生物であるとの 結論に達した。


石家達爾、土居養二、与良 清、明日山秀文(1967)クワ萎縮病の病徴発現におよぼすテトラサイクリン系抗生物質の影響. 日本植物病理学会報 33267-275

1.萎縮病罹病クワの組織内にMycoplasmaまたはPLT群に類似の微生物が見出されたとの知見に基づき、クワ萎縮病の病徴発現に対する抗生物質の影響を試験した。

2.クロルテトラサイクリンとテトラサイクリンとは本病の発病抑制に明らかな効果を示したが、カナマイシンの効果は認められなかった。

3.効果の程度は薬液施用方法によって差があり、根部浸漬がもっとも有効で、茎葉散布がこれに次いだが、土壌への灌注では効果は全く認められなかった。また茎葉散布と土壌灌注との併用処理の効果は、茎葉散布と同程度であった。

4.テトラサイクリンの根部浸漬処理では10ppm液で処理後3日ごろから、また10ppm液では7日ごろから効果が現われ始めた。

5.23日おきのテトラサイクリン茎葉散布では、10ppm液による効果は明らかでなかったが、10ppm液では処理開始の10日後ごろから効果が示された。

6.薬剤施用により一旦病徴のみられなくなったものでも、処理を止めるとある期間後にふたたび発病する傾向がある。再発までに要する期間は、病苗の病徴程度、苗の大きさ、育苗条件等によって異なる。

7.以上の結果から、クワ萎縮病の病原はテトラサイクリン系抗生物質に対して感受性であろうと考えられる。


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