39.蚕ウイルス性軟化病の早期診断・蛍光抗体法(1971)

井上 元、鮎沢千尋(1971)螢光抗体法による家蚕ウイルス性軟化病の診断に関する研究.蚕糸試験場報告 25(1)21-40

1.ウイルス性軟化病の診断に蛍光抗体法の利用を試み、本法による抗原証明が可能となったので、実施上の基礎的問題について検討した。

2.精製ウイルス約1mgincomplete Freund's adjuvantと混合して、ウサギの皮下または筋肉に4回注射し、最初の注射から1ヵ月後に補体結合反応価256倍と512倍の免疫血清を得た。

3.上記の免疫血清各50mlから硫安塩析法でγ-グロブリンを分離した。5%γ-グロブリン15ml と3%γ-グロブリン5mlが得られた。

4.川村の方法で蛍光色素フルオレッセンイソチオシアネートを標識し、F/P分子比が1.51.7の蛍光抗体を作成した。

5.塗沫標本の抗原性はアセトン固定とエタノール固定では変化しなかったが、メタノールとカルノア固定では著しく変化した。

6.蛍光抗体を−20℃に保存した場合は、3ヵ年経ても染色性の低下はみられなかった。

7.風乾後−20℃に保存した塗沫標本の抗原性は、保存1ヵ月間は安定していたが、3ヵ月間では低下した。

8.特異蛍光は中腸前部でより明瞭に観察されるので診断の際は中腸前部を摘出し塗沫するのが適当である。

9.蟻蚕に10-6ウイルス希釈放を経口接種した場合、2齢起では特異蛍光が観察された。

10.ウイルス性軟化病で斃死後腐敗した幼虫の体液塗沫標本に特異蛍光が認められた。

11.長野県、埼玉県および茨城県で採取したウイルス株は、坂城株ウイルスを抗原とする蛍光抗体で染色された。


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