45.蚕の新しい軟化病ウイルス(197

古田要二(1973)蚕に病原性を示す新しい軟化病ウイルスについて.日本蚕糸学雑誌 42(6)443-453

1.ハスモンヨトウおよびマイマイガの核多角体を接種された蚕に発生した軟化病症状蚕から得られた蚕に対する起病性因子(それぞれPlVLdVと略す)の性状を明らかにするため、蚕のウイルス性軟化病のウイルス(FVと略す)と比較検討を行い次の結果を得た。

2.PlVLdVはいずれもザイツEK、ミリポアフィルター100mμ以上でろ過され、FVと差がなかった。

3.これらはいずれもFV同様ホルマリンで不活化されるが、テトラサイクリン、アルコール、オスバンおよび蚕の消化液では不活化されなかった。

4.PlVLdVを支124号、大造、日124号および支7号のそれぞれの原種および交雑種に接種したところ、いずれも支124号、大造および支124×大造にはまったく感染せずFVとは明らかに差異がみられた。

5.PlVLdVの両者とも経皮接種では日134×135号、日124号に感染するが、支124号の蚕体内ではウイルス増殖はまったく認められなかった。

6.PlVLdVはいずれもFVの抗血清で中和反応が成立し、抗FV血清を用いた免疫電気泳動像にはFVと差がみられなかった。

7.PlVLdV感染組織では何れもPMG染色によってFV感染でみられる好塩基性状体はみられず円筒細胞に著しい異常が認められた。また、FVの蛍光抗体で幾分染色されるが、FVの場合とは染色像に差異がみられた。

8.LdVの精製標品の電子顕微鏡観察では直径1723mμFVよりいく分小さい粒子が認められた。また、PlVLdVは何れもCsClによるFVの精製法ではウイルスバンドが認められず、各フラクションとも高い感染力価を示した。

9.両ウイルスともハスモンヨトウに感染しなかった。

 以上の結果から、PlVおよびLdVは同一あるいは極めて類似したウイルスであり、FVとは異なるウイルスと考察した。


古田要二(1974)蚕に病原性を示す新しい軟化病ウイルスについて U.蚕品種別感受性とウイルスの血清学的性状.日本蚕糸学雑誌 43(5)405-411

1.蚕に病原性を示す新しい軟化病ウイルス(以下SFVと略す)について蚕品種別感受性を検討するとともに、従来の伝染性軟化病ウイルス(以下IFVと略す)に対する抗血清と抗SFV血清を用いて試験し、下記の知見を得た。

2.SFVに対する蚕品種別感受性の差異について、支那種12、欧州種3、日本種6および交雑種7の計28品種を用いて試験したところ、日本種および交雑種には比較的感受性の高い蚕品種が多くみられたが、支那種および欧州種には感染しない蚕品種が多かった。また、IFVに抵抗性の蚕品種はSFVにも感染しなかった。

3.electro-syneresis法およびOuchterlony法による抗IFV血清に対する血清反応では、IFVにのみ反応が成立し、SFVには反応が認められなかった。また、抗SFV血清はSFVおよびIFVの両者に反応が成立するが、SFVIFVとは抗原的に異なることが示された。


古田要二(1975)カイコの小型軟化病ウイルスに対する抵抗性遺伝について.日本蚕糸学雑誌 47(3)241-242

1.カイコの小型軟化病ウイルス(SFV)に対する抵抗性を発病の有無でみた場合には、その抵抗性は単一の遺伝子によって支配されているといえる。


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