48.桑の新品種「ゆきしらず」(桑農林3号)(1976)

和田 實、牧 音榮、宮山 健也、飯島邦治、梅野 宏、南原克己、岡部 融(1976)桑の新品種「ゆきしらず」.技術資料 第85号:7-820-21

1.桑胴枯病にきわめて強い「新桑2号」は多収性であるが晩秋蚕期に葉質が劣悪化し、「ふかゆき」は晩秋蚕期の葉質が比較的良好であるが収量がやや少ない弱点をもっている。これらの短所を改良し、多雪地に向く品種を育成する目的で、耐胴枯病性をもつ多収の育成系統「谷No.949」に枝条数が多く葉質の良好な「黒姫桑」を交雑し、本品種が選抜された。

2.本品種はヤマグワ系に属し、豪雪に耐え、胴枯病に極めて強く、春の繁茂がよい品種を意味するため、「ゆきしらず」と命名された。本種の特性は次のとおりである。@姿勢はやや展開性で、枝条は屈曲しているが、伸長は良好であり、とくに枝条数が多く、節間長は短い、A葉は光沢のある淡緑色を呈した中型の全縁葉(卵円)である。葉面には小縮皺があり、葉縁がわずかに巻縮し、晩秋期の葉はやや薄い傾向がある、B春の発芽・開葉期は「ふかゆき」とほぼ同じで中生であるが、新梢長・開葉数はまさり、よく繁茂する、C枝条長は「ふかゆぎ」「剣持」にはやや劣るが、枝条数が多く樹勢は強健であり、収葉量は「剣持」にまさり、「新桑2号」と同程度の多収性を示す、D胴枯病にはきわめて強く「新桑2号」と同じ程度であり、裏ウドンコ病は少ない。萎縮病の抵抗性は「ふかゆき」「剣持」程度である、E蚕の飼育成績は「ふかゆき」と大差ないが、枝条数が多いので条桑収穫に適している。晩秋蚕期の葉質も比較的良好である。

3.桑胴枯病にきわめて強いので積雪地、とくに平均積雪1.5m以上の多雪地に適する。春・晩秋を通じてよく繁茂するので春秋兼用の壮蚕用桑に向いている。胴枯病の薬剤による予防措置は必要としない。本品種は枝条数がとくに多く、よく繁茂するので、葉がやや薄くなる傾向がある。したがって、植付距離をやや広くとり、初秋蚕期の間引収穫などを行う必要がある。ま た、萎縮病激発地への導入はさけるベきである。


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