49.桑の新品種「みなみさかり」(桑農林4号)(1976)

樋田仁蔵、村上美佐男、山本 賢、南 正邦、阿部 弘、岩田 益(1976)桑の新品種「みなみさかり」(桑農林4号).技術資料 第85号:9-1022-27

1.西南暖地に広く栽培されている「一ノ瀬」は良質で収量も多いが、風雨により倒伏しやすく、肥培管理に難点を生ずるばかりでなく、縮葉細菌病にきわめて弱い。「しんいちのせ」はこれらの欠点を改良是正した新種であるが、さらに良質多収で西南暖地の条件に適する品種を作出 することを目的として、晩秋蚕期に葉の硬化がおそく、良質な「改良一ノ瀬」に、枝条が直立性で多収の「国桑第21号」とを交雑し、本品種が育成された。

2.本種はカラヤマグワ系に属し、暖地でよく繁茂し、多収性品種であることを意味するため、「みなみさかり」と命名された。本種の特性は次のとおりである。@姿勢は直立性で展開幅も狭く、倒伏枝条が少ない。枝条は灰褐色で「一ノ瀬」よりやや青味を帯び、節間長は短く、太さは中位である、A枝条数は「一ノ瀬」よりやや多く、伸長は「一ノ瀬」と同程度かやや短いが、夏秋期の中間伐採による再発芽性は良好で、再発枝の伸長も良い、B葉は中型の2〜4裂葉であり、光沢の強い緑色を呈し、葉の厚さは「一ノ瀬」と同程度かやや厚い。晩秋の硬化は非常におそい、C春の発芽は「一ノ瀬」より2〜3日早く、「しんいちのせ」と同程度である、D春秋兼用壮蚕用としての年間収葉量は「一ノ瀬」と同じかやや多く、夏秋専用として初秋中間伐採による収葉量は「一ノ瀬」より多い、E縮葉細菌病には「一ノ瀬」より強く、ほとんど罹病しない。萎縮病抵抗性は「一ノ瀬」「しんいちのせ」と同程度である。晩秋おそくまで伸長するので、翌春の先枯れがやや多い、F古条さし木の発根性は「一ノ瀬」より劣る、G蚕の飼育成績は「一ノ瀬」と大差ない。

3.本品種の適応地域は四国、九州地方の暖地であるが、暖地でも標高500m以上の地域は先枯れの多発するおそれがあるので適地とはいえない。耐倒伏性、縮葉細菌病抵抗性および再発芽機能にすぐれているので、西南暖地の春秋兼用および夏秋専用の壮蚕用ならびに夏秋稚蚕用に適する。晩秋おそくまで伸長し、先枯れが多くなるおそれがあるので、夏期の追肥は控え目にする必要がある。また、萎縮病の激発地を避ける。

※樋田仁蔵、村上美佐男、山本 賢、南 政邦(1978)桑の新品種“みなみさかり”の育成とその性状について.蚕糸試験場報告 27(5)469-495


 研究成果の目次に戻る