54.桑園における太陽エネルギーの効率的利用(1980)

桑園の太陽エネルギー利用効率研究班(1984)桑園における日射エネルギー利用効率と生産力.蚕糸試験場彙報 第120号:1-31

 ※北浦 澄(裁桑部長)、大山勝夫(桑生理研究室)、佐藤光政(桑生態研究室)、小林昭三、市橋隆寿、小野  松治(栽培研究室)、玉田幸三郎、東城 功、羽田 宏、大和田賀吉(東北支場栽培研究室)、内川長弥、片  桐幸逸、矢崎利一、成田正士、木下玉平(中部支場裁桑研究室)、四方栄市、直井利雄、村上泰臣、中川   泉(関西支場裁桑研究室)、南 正邦、岩田 益、内田 信(九州支場裁桑研究室)

1.桑園の土地生産性向上のための方向を明らかにする目的で、春切桑園における日射エネルギー利用効率を蚕糸試験場東北支場、中部支場、関西支場および九州支場の各桑園(以下においてはそれぞれ飯坂、松本、綾部および植木と呼ぶ)において、共通の方法に基づいて調査した。

2.最長技の長さはいずれの試験地でも6月から8月中旬の間は急速に増加し、8月下旬以後の増加は緩慢であった。10月初旬における技条長は植木と綾部では3.63.7m、松本では3.3m、飯坂では2.82.9mであった。

3.葉・枝・幹および根の合計の乾物重は6月〜10月まではいずれの試験地でも増加したが、飯坂の増加率は他に比べ劣った。10月初旬における乾物重は綾部、松本、植木、飯坂の順であった。

4.生育期間を通じての平均的な収量生長速度は松本と綾部で1315 /u/day、 植木と飯坂では912/u/day であった。また生育期間を通じての平均的な純同化率は1978年には松本、綾部、植木で高く、飯坂では低かったが、1979年には松本以外の3試験地では大差がなく低かっ た。一方、生育期間平均の葉面積指数は両年とも松本および綾部で高く、植木および飯坂では低かった。

5.葉および枝の燃焼エネルギーは4,0004,600cal/gであり、幹および根の値は4,3004,600 cal/gであったが、試験地による差は認められなかった。

6.生育期間を通じた日射エネルギー利用効率は松本と綾部で1.51.7%と高く、植木と飯坂では1.11.4%と低かった。また生育期間を通じた日射エネルギー転換効率は松本と綾部で高く、飯坂がこれに次ぎ、植木では低かった。一方、葉層の日射エネルギー吸収率は植木の値が他の試験地に比べやや高かった。

7.4試験地を平均した桑園の日射エネルギー利用効率として1.44%が、また収量生長速度としては12.2 g/u/day が得られた。南東北の飯坂と九州中部の植木では日射エネルギー利用効率と収量生長速度がやや劣ったが、飯坂では葉面積指数を早期に高め、日射エネルギー吸収率を増大させることが、また植木では純同化率を高め、日射エネルギー転換効率を高水準に維持することが生産性の向上をはかる上で有効であると考えられた。


 研究成果の目次に戻る