60.不良繭自動選別機(1982)

川名 茂(1982)不良繭自動選別機−試作機の性能等について−.製糸絹研究発表集録 第32集 :37-39

1.生糸製造に適さない不良繭としては、内部汚染繭、薄皮繭、奇形繭等、約10種類にのぼる。これらの選別は、通常、半透明のコンベヤ上に繭をのせ、下から光をあて、2〜3人の人力によって行われてきた。しかし、不良繭の大半が外観から判定の難しい内部汚染繭(内部で病死した蚕の体液で汚染されている繭)であるため、相当数の見落とし、混入がみられる。


2.装置の機構概略を図に示す。本機は、繭の長軸方向のX線吸収波形を測定し、パターン認識によって正常繭か不良繭かを判別する。図のように、繭をV字型コンベヤで1列に並べて移送し、上部から軟X線を照射してその透過X線量を繭下部の鉛板にあけられた小孔を通して測定し、直ちに演算回路へ入力する。演算回路では一定の方法に従って正常繭か不良繭かを判定し、その結果をレジスタ回路へ送ってストックさせる。一方、繭が不良繭排出部の定位置へ達すると、この繭の判定結果がレジスタ回路から出力され、不良繭であればエアノズル制御弁が作動して圧縮空気を噴出させ、この繭を不良繭排出用ダクト内へ排出する。正常繭であればエアノズル制御弁は作動せず、繭はそのまま正常繭出口へと送られる。また、同時に繭の大きさも測定し、特に大きい繭や小さい繭はX線の判定結果のいかんにかかわらず排出される仕組みになっている。

3.X線吸収波形例を見ると、正常繭では蛹がほぼ中央に位置しているため、X線吸収波形は概ね富士山型を示すが、内部汚染繭のような繭は蛹または蚕がつぶれて糸層に付着していることが多いため富士山型以外の種々のパターンを示す。

4.パターン認識の方法:測定波形に、正常繭と類似した富士山型のモデル波形を同期的に加算し、その最大値があらかじめ設定した基準値を超えたら正常繭、超えなかったら不良繭と判断する。この方法は富士山型の二つの波形が合い重なれば両者の加算結果の最大値は特に大きくなり、逆に二つの山がずれれば急激に減少することを利用したものである。

5.本機の使用に際し、次の点に注意する必要がある。@X線強度が選別精度に影響するため、軟X線発生装置の電圧が30KVP、電流が3mAに安定しているかどうか確かめる。安定していない場合は調整つまみによって調整する。A圧縮空気の圧力が2kg/u以上に達しているか確かめる。B繭の大きさの上限および下限を2進法表示スイッチによって設定する。

6.繭の供給は、装置の右側部分からV字型コンベヤ上に一列に送り込む。

 ※新しい技術 第20集. 207-211


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